良家の娘として母親に厳しく育てられ、遊ぶ自由すらなかった清美。
そろそろいい歳だからと母からお見合いを持ち掛けられ渋々了承するが、自身の決断力のなさと母親の傲慢で束縛的な言動を理由に別れを切り出されてしまう。
傷心で帰宅した清美に母親は怒鳴りつけ、周囲に顔向けできないと泣き崩れました。
そんな母を見て、清美は誰のせいでこうなったのかと不満を募らせていきます。
身勝手な親に振り回される清美の婚活は、果たしてうまくいくのでしょうか?
前回:家にも外にも居場所がない vol.4 ~親の無意識な妨害~
「あなたは昔からいつもそう。自分で決めないで他人に頼ってばっかり」
庄司さんに別れを告げられたあの日から母の小言は増えるばかりです。
「本当に情けないわ。一人じゃなんにもできないんだから」
一人ではなにも出来ない。私が何かしようとしても反対して自分の思想を押し付けて来たのは母なのに、どうして今更このような事をいうのでしょう。
行きたい学校も、やりたい部活も、やってみたい趣味も、友達との時間も、全て奪ってあれをやれこれをやれと強制してきたのは母自身なのですよ?
言われたとおりにして失敗したら責め立てられる。出来て当たり前で失敗は許さない。私はいったいなんなのでしょうか? 機械かなにかなんでしょうか?
「ほんとこれから嫁に出して大丈夫か不安になるわ」
そう育てたのはあなたなのに。叫びそうな声を飲み込んでただ母のいう事を聞く日々です。
『親の言いなりで、自分で決められない人は不安です』
あれから何度も庄司さんに言われた言葉がフラッシュバックします。
自分で決められない。決める自由がないのは私の責任なのでしょうか? 自分の意見を言えば叱られ強制される立場で、いったい何を決めればいいのでしょう。自分で自分が嫌になってしまいます。私はいったいどうしたらいいのでしょう。
それから数カ月。険悪な空気感が続いていたある日、母が新たなお見合いの話を持ってきました。
「頼りないあなたでもしっかり面倒をみてくれるような良い人が見つかったわ」
無理して見つけてくるくらいなら別に私は結婚しなくてもいいのですが。
母はどうしても私を結婚させたいようです。