「私、中村玲子っていうの」
「じゃあ、玲ちゃんやね!」
―玲ちゃん…―
懐かしい響きだった。
この世にたった一人だけ、そう呼んでくれていた友人がいた。
「玲ちゃんって呼びたいわ。リナって名前、ノンあんま好きちゃうねん。だから、お姉さんって呼んでたんよ」
「なんで?」
「彼の本妻が、リナやねん。何処にでもある名前やけどな。」
二人は久しぶりに、カラオケと屋内のラウンド遊戯施設に行った。
そして、年の差も、年齢も、日々の疲れも忘れて騒いだ。
玲子も20歳で結婚して子育てして、今はシングルマザーとして必死に生きている。
本当に10年以上ぶりに、羽目を外したように楽しかった。
その後、ノンちゃんを連れて初めて同伴をする…その時までは。
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ノンと同伴し【RedROSE】で楽しく過ごしているリナ。そんな中、ある団体客がやってきて、その中の一人がリナに声をかけてきた。その客の正体とは⁉