NOVEL

婚活物語―ハイスペ男と結婚したい―vol.6~「私、結婚に妥協はしたくないので」~

結婚相談所に入会の審査をお願いしてから1週間後、担当の阿部さんから連絡が入り、無事審査に通ったとの報告を受けた。

あとは結婚相談所に対して正式なプロフィールを登録し、相手を紹介してもらうのを待つだけだ。

私は玉の輿に向けて、1歩前進した。

 


前回▶婚活物語―ハイスペ男と結婚したい―vol.5〜結婚へ向けた第一歩。高級結婚相談所への入会を決意〜

はじめから読む▶婚活物語―ハイスペ男と結婚したい―vol.1~彼との出会い~

 

プロフィールは電話で情報を聞きながら作成することもできるそうだが、それだと私の思いがうまく伝わらないかもしれない。早速、休日に再度結婚相談所へ足を運ぶことにしたのだ。

 

1週間ぶりの結婚相談所。相変わらずの高級な内装。ここで結婚相手を見つけることができると思うと、胸がワクワクする。

 

「お久しぶりです、松村様」

 

中に入ると、初めて来たときと変わらず丁寧な対応で迎えてくれる阿部さん。相談所の中にある個室に通され、私と阿部さんは向かい合わせで座った。そして、阿部さんは持っていたパソコンを私に見せた。そこには、別の女性がずらりと並んでいる。

 

「当相談所に登録していただいている女性のプロフィールでございます。松村様にも、このようなプロフィールを作成していただきます」

 

パッと見せてもらったが、登録している女性は綺麗な人ばかり。そりゃ、スペックが高い男性と結婚するのだから当然だろう。年齢は20代から30代まで幅広い。ただ、私のように20代前半で登録している女性はほとんどいなかった。

 

必要となる情報は年齢や職業といった基本的な情報から、本籍や家族構成といった家柄までたくさんあった。私は家柄に対して自信はなかったが「今は普通の家庭でも問題ないと考えている男性も多いですよ」と阿部さんは言ってくれた。

 

基本的な情報は嘘をついてもすぐにバレてしまう。だから私は正直に答えた。特別自慢できるようなものはなかったが、逆に私のような一般的な女性が登録するのは珍しいらしい。他の結婚相談所と比べると費用もかかるので、登録にはハードルが高いのだと思う。

 

プロフィールを登録し終わると、次は希望する男性

情報の入力だ。自分が入力した情報に合わせて、相手の男性が紹介される。そして双方の合意が取れたときに、初めて相手の男性と顔を合わせることができるのだ。

 

まずは、私が問い合わせをするときに入力していた希望をもとに入力が進んでいく。しかし、私が問い合わせのときに入力した希望は最低ライン。本来であれば、もっとスペックが高い男性と出会うべきだと感じていた。

 

「あの、問い合わせのときと条件変えてもいいですか?」

 

私のように言う人は多いのだろうか、阿部さんは驚いた様子など全く見せず「良いですよ」と微笑んでくれた。私が出した条件はこれだ。

 

・年齢は30歳まで

・学歴は偏差値65以上の大学

・身長は175センチ以上

・年収は1,200万円以上

・職業は専門職もしくは一流企業

 

さらに、私は「男性の両親との同居は不可」にチェックを入れた。姑と同居など考えられない。結婚生活に対して、誰にも邪魔されたくないのだ。

 

私が出した条件に対し、阿部さんは難しそうな表情を見せた。そして「これだと、紹介できる男性がかなり限られるかもしれません」と気まずそうに言葉を漏らす。

 

「構いません。結婚に妥協はしたくないので」

 

私の言葉から意志を感じ取ったのだろう。阿部さんは「かしこまりました、最善を尽くします」と了承してくれた。