それまで私が知っている彼の印象とはまるで違う、先が見えない闇を這うような赤裸々な言葉に詩集を思わず落としそうになった。
その時、がちゃっと扉が開いた音がして急いで私は本を棚に戻した。
カップを持つと、口元に運ぶ。少し震えていて呼吸が乱れる。
『人間には時々、そんな人が必要なんですか?』
あの日、同じセリフをママが言っていた。
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眠れない夜、アユムの仕事部屋へ呼ばれた蘭。寝室で彼にそっと添い寝するが、衝撃の姿に彼女はただ涙する。そしてこの物語の全ての秘密が明らかになってゆく…。