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いつも私は何もできないの、パパとママに怒られるの
そんなことないよ、蘭は頑張り屋さんじゃないか
バレエのコンテストでも優勝できなかったの
優勝だけが全てじゃないよ、俺はちゃんと見てたよ
ねえ、私、ちゃんといい大人になれるかな?
大丈夫、蘭は踊ることが好き?
うん、大好き!
だったら踊っていて。俺は蘭の踊る姿を見るのが好きだよ
いつだって、見ているからね。
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目を覚ますと私は、大粒の涙を流していた。
ああ、またこの夢だ。
私は勢いよく起き上がると、浴室に向かう。腫れ上がった目を見るのが嫌で服を脱ぎ捨てるとシャワーを勢いよく開く。お湯が全身を流していく。
排水溝に流れてゆく透明な水だけをじっと見つめていた。
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名古屋市内、ヒルトンのパーティ会場では、IT企業の代表者が集う親睦会という商談が開かれていた。
アルマーニのスーツに身を包んだ初老の男性が賑やかな場の中で、誰かを呼び寄せる。縁なしメガネを掛け長い髪の毛をオールバックにしたクールな顔立ちの男性がやってきた。
彼はオーダーメイドのアルフォンソ・シルカのスーツをさらりと着こなしていた。
「行貞会長、こちらが老舗企業の後継として躍進中の若手社長、浜名君です」
浜名と呼ばれた男性は微笑むと差し出された手を握り返した。
「まだ若いのに有望な男だ、いくつだい?」
「35です」
「いい歳だ、君はもう結婚はしているのかね?」
「いいえ、まだ未熟者ですし、父から受け継いだ仕事の方を軌道に乗せたいので」
ワインを片手にそれを聞いた行貞は、ははっと大きく笑った。
「うんうん、良いことだ。女なんぞ誘わずとも君の容姿なら寄ってくるだろう、まあ若い頃は遊ぶことも勉強さ」
ぽんと肩を叩かれ去っていく。ふっと側にいた男に笑いかけると、少しお手洗いにと告げ会場を後にした。