「それは変よ」
口を挟んだのは総務部の白石だ。
「三村さんが営業部受け持ちの名簿データを添付でくださった時、山村さんの名前もCCに入っていたわよ」
「・・山村さん、仕事丸投げしていたらしいわよ」
「え、そうなの?ひどくない?」
背後でヒソヒソ声がする。
「・・!私、本当にそんなメール」
言い訳を続ける礼子の前に白石がパソコンの画面を差し出した。
「ほら、見て」
受信ボックスに届いているメールの宛先には確かに礼子の名前も記されている。
「・・そんな!」
「ま、いいじゃない。さ、会議を続けよう」
呆れ顔で石井が会議再開の声をあげる。
「あ、それからね。三村さんは総務部付で業務に当たって貰うことになったから。これもメールしたんだけどね」
付け足すように石井が礼子に告げた。それ以上、何も言えずただ礼子は俯いた。
項垂れた礼子を三村佐智子がそっと見つめる。振り返った佐智子の唇の端が微かに上がったことに、誰も気づくことはなかった。
Next:3月3日更新予定
ついに創業記念パーティー当日。そこで次期社長の桐生泰孝が婚約発表?しかもその相手が三村佐智子?そんな噂を耳にした礼子がとった行動とは・・・