NOVEL

彼女がいても関係ない vol.8 ~礼子の不満~

「それは変よ」

口を挟んだのは総務部の白石だ。

「三村さんが営業部受け持ちの名簿データを添付でくださった時、山村さんの名前もCCに入っていたわよ」

 

「・・山村さん、仕事丸投げしていたらしいわよ」

「え、そうなの?ひどくない?」

背後でヒソヒソ声がする。

 

「・・!私、本当にそんなメール」

言い訳を続ける礼子の前に白石がパソコンの画面を差し出した。

「ほら、見て」

受信ボックスに届いているメールの宛先には確かに礼子の名前も記されている。

 

「・・そんな!」

 

「ま、いいじゃない。さ、会議を続けよう」

呆れ顔で石井が会議再開の声をあげる。

 

「あ、それからね。三村さんは総務部付で業務に当たって貰うことになったから。これもメールしたんだけどね」

付け足すように石井が礼子に告げた。それ以上、何も言えずただ礼子は俯いた。

 

項垂れた礼子を三村佐智子がそっと見つめる。振り返った佐智子の唇の端が微かに上がったことに、誰も気づくことはなかった。

 

 

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ついに創業記念パーティー当日。そこで次期社長の桐生泰孝が婚約発表?しかもその相手が三村佐智子?そんな噂を耳にした礼子がとった行動とは・・・