弾む声で電話を切ると、好きな人の言葉はまるで魔法のようだ、と年甲斐もなくアユミは思った。
さっきまでずんぐりと暗い気持ちだったのが、神尾のたった一言で軽くなり、天にも昇るような気分。
なんだ、神尾はやっぱり自分に好意を持っている。
リサへ参加表明のラインを送ると、アユミは身のこなし軽く立ち上がり、クローゼットの扉を開けた。
何を着ていこうか。明後日こそ勝負の日。
1軒目はリサたち夫婦と4人で食事をし、そのあとは2人でまたバーにでも行くことになるだろう。
もう待つのはやめだ。
この年齢で付き合えば、おのずと結婚を意識した付き合いになるだろうから、神尾も少し慎重になっているだけかもしれない。だが、アユミから付き合いたいと言えば、きっと「いいよ」と言ってくれる。
そうでなければ、どうして会ったこともないアユミの友人夫婦との食事会に積極的になれるだろうか。
神尾から『楽しみ』と返ってきたラインを読み返しながら、アユミは早く神尾と付き合って色んな人に言って回りたい衝動に駆られた。
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ついに待ちに待った土曜日。アユミと神尾とリサたち夫婦との食事会。だがアユミの予想とは裏腹にことは進んでいく・・・!?