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街中が真っ赤に!?世界屈指の奇祭「トマト祭」とは?

日本にも神田祭、祇園祭、天神祭など見る人を魅了するさまざまなお祭りがあります。しかし、世界に目を向けてみると、日本にはないようなエキサイティングなお祭りがたくさんあるようです。

今回は、スペイン・バレンシア州の小さな街、ブニョールで行われる収穫祭「La Tomatina(ラ・トマティーナ)」、日本語では「トマト祭」と呼ばれる奇祭をご紹介します。

 

01/トマト祭の舞台ブニョール

トマト祭の舞台となるのは、小さな街ブニョール。

スペインといえば、オリンピックの聖地として知られるバルセロナを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。そのバルセロナからバレンシア州まではおよそ350㎞。ブニョールは、そこからさらに50㎞ほど離れた場所に位置する静かな田舎町。

しかし、トマト祭が行われる8月の最終水曜日には毎年5万人以上の観光客が訪れ、「静かな田舎町」とはかけ離れた街へ一気に塗り替えられるそう。

02/トマト祭の歴史

諸説ありますが、トマト祭が始まったのは1945年頃。若者が喧嘩の最中に、たまたま近くにあった八百屋からトマトを取って相手に投げつけたことが起源とされています。

当時は、警察がその場を落ち着かせたものの、翌年の同日に同じメンバーが再びトマトを投げ合いました。その際に使用したトマトは持参したものだったとか。そしてそこから、毎年行われるようになったようです。

途中で何度か禁止されたこともあるようですが、市民の強い要望により、1959年に役所が定めたルールを守る前提でお祭りとして解禁され、今では収穫祭として、伝統的なお祭りへと発展しました。

 

03/トマト祭のルール

宗教行事や祭事のように伝統を重んじるものではないトマト祭。そのため、外部からの参加者も歓迎され年々増え続ける傾向に。それに伴って使用するトマトの量も増えています。

なんともエキサイティングな奇祭ですが、参加者全員が楽しむことができるよう、次のルールを厳守する事が決められていいます。

1.瓶等の固い危険物は持ち込まない

2.Tシャツを破らない

3.トマトは投げる前に適度につぶす

4.トマトを運んでくるトラックには十分注意する

5.終わりの合図を厳守する(時間外に1つのトマトも投げてはいけない)

※着替えや水中眼鏡は、ビニール袋に入れて持参する

 

04/前夜から徐々に始まるトマト祭

トマトこそ登場しないものの、チリンギートとよばれる屋台や、子供用の簡易遊園地が設けられ大勢の人が盛り上がりをみせる前夜祭。サン・ルイス通りの広場では、飲んで歌って踊ってと、笑いの絶えない時間が続くようです。

高ぶる気持ちを抑えつつ、前夜祭を楽しんだ後はとうとうトマト祭本番。

まず行われるのは「パロ・ハボン」。開始時間になると、広場に石鹸で十分に濡らされた長さ数メートルもある棒が立てられます。その棒の先端には景品としてハムが括り付けられており、そのハムを参加者の誰かが取った時、トマト投げの開始合図となります。誰かがハムを手にするまでは、トマト祭を始められないという決め事があるため、パロ・ハボンも見どころのひとつとなっているようです。

そして、ハムを手にした勝利者が出ると、人々は「ト・マ・テ!ト・マ・テ!」と、トマトコールを始めます。すると、この日のために用意したトマトを大量に乗せたトラックが現れ、お祭りが本格的にスタート。5台ほどのトラックに山積みにされたトマトは120トンほどもあると言われています。

 

プエブロ広場を中心に、多くの人々が一斉にトマトを投げ始め、人や建物はあっという間に赤く染め上がります。街には、トマトの水たまりが大量にできるとか。

そして1時間後、終了の合図が鳴るとともにトマトバトルはピタリと止み、すぐに市の職員達が強力な散水ホースで街中を洗い流しはじめます。その作業は驚くほどに手際がよく、約2時間後には真っ赤に染まっていたことが嘘だったかのように街は元通りの姿を取り戻します。また、仮設シャワーが設置されているので、参加者たちも順番にトマトを洗い流すことに専念するようです。

こうして、ちょうどお腹の空く13時頃にトマト祭は終了します。お祭りで使用されているトマトは食べることができません。残念ながらトマトでお腹いっぱい、というわけにはいかないようです。トマトの投げ合いで疲れ切った体を屋台のサンドイッチやパエリアで満たし、余韻を楽しむことにしましょう。

 

05/トマト祭に参加する際の注意点

汚れることが必至のお祭りだけに、荷物の準備は重要のようです。現地に有料の預かり所があるようですが、スリも多いので大金は持っていかないようにしましょう。首から下げることができる防水スマホケースの中に、電車賃程度のお金を入れておくと便利なようです。

服装は、男女ともにラフで汚れてもいいもの。水着を着ている人も多く見かけます。しかし、サンダルで行くと足を踏まれたり、脱げてしまったりした際に、ケガをしてしまう可能性があるので、汚れてもいい脱げにくいスニーカーを履いていくことをおすすめします。また、トマトが目に沁みるので、ゴーグルも忘れずに。

 

◆◆トマト祭で子供心を思い出す

相手構わず投げ合うのみのトマトバトル、それがトマト祭の最大の楽しみ方のようです。生きる上で大切な食材を「投げ合う」ことができるのは、このお祭りのみかもしれません。投げて転んで大はしゃぎ。そんなトマト祭は、大人たちが子供心を思い出すことのできる、貴重な日なのかもしれません。

人生で一度は参加したいけど、二度と参加したくない祭り、トマティーナ。

一生分のトマトを全身で浴びるための旅はいかがでしょうか。

 

▼スペイン観光公式サイト
https://www.spain.info/ja/