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アメリカの教育制度を徹底解剖 K-12から大学進学まで、その仕組みと特徴

「アメリカンドリーム」という言葉があるように、アメリカ社会は個人の努力と才能を重んじ、多様な価値観が尊重される社会です。その背景には、自由な発想を育む教育システムが深く関わっています。今回は、アメリカの教育制度の特徴や歴史、そして世界が注目するSTEM教育について詳しく解説していきます。

 

教育の特徴

集団の調和などが重視される日本と違い、個々の権利や自由が尊重されるアメリカ。

アメリカの教育制度は、各州の裁量によって決められ、地域によってカリキュラムや教科書、休日が決められます。そのため、教育レベルも州ごとにさまざま。義務教育期間は「K-12」とよばれ、K(幼稚園)〜グレード12(高校3年生)まで、教育費は原則無料です。

また、家庭や個人の事情に合わせて教育を行う合理的な方法のひとつとして、アメリカでは「ホームスクーリング」が認められています。ホームスクーリングでは、保護者が教育を行う、家庭教師に一任する、一部の教科は学校で受ける、といったさまざまなパターンを選択することが可能です。他にも、子供の自主性を尊重し、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる「モンテッソーリ教育」や教育そのものを芸術と考える「シュタイナー教育」という教育方法も取り入れられています。

これらは、さまざまな選択肢の中から自分にあった道を進んでいくことができるアメリカならではの特徴といえるでしょう。

アメリカの教育歴史とSTEMの始まり

1994年に「アメリカ教育法」と「アメリカ学校改善法」の2つの法律が制定されました。連邦政府はこの2つの法律において、州と地方教育機関に学力水準の達成を要請したのです。2002年には「No Child Left Behind」文字通り落ちこぼれを作らないという教育スローガンの下、NCLB法を打ち立てました。言い換えると「全ての子供に高い学力を身につけさせる」という目標です。そして2011年、オバマ政権下では産業競争力向上を目的として「STEM」を国家戦略として位置付けました。

STEMとは、

✓Science(科学)

✓Technology(技術)

✓Engineering(ものづくり)

✓Art(芸術)

✓Mathematics(数学)

上記の5つの教科の頭文字を組み合わせた造語であり、これらの領域を重視する教育方針を意味します。近年日本でも「日本STEM教育学会」や「STEM教育協会」が設立され注目されつつあります。その背景にはテクノロジーの進展とともに、社会に必要とされる人材も変化していることが挙げられるでしょう。企業なども通し、STEM教育は今後も発展していくことが予想されます。

アメリカのエリート校とその費用

アメリカのエリート校と聞いて思い浮かべるのは、

✓ハーバード大学

✓ブラウン大学

✓コロンビア大学

✓コーネル大学

✓ダートマス大学

✓ペンシルベニア大学

✓プリンストン大学

✓イェール大学

上の名門大学8校が所属する「アイビーリーグ」や、UCLAなどの州立大学、スタンフォード、MITといった私立大学ではないでしょうか。これらはいずれも規模の大きな総合大学です。もちろん「名門」の名を背負うだけあっていずれも超がつくほどの難関大学。また、アイビーリーグに劣らない質とレベルを誇る「リトルアイビー」と呼ばれる大学も存在しますが、そちらも難関であることは間違いありません。

また、アメリカには一斉入試というものがなく、高校の成績やエッセー、推薦状、全国共通テストのスコア、課外活動や面接など、数々の項目を総合的に審査して合否を決定します。

しかし、そんな超がつくほどの難関を勝ち進み進学が決まった学生は次に、経済的なハードルがあるといわれています。例えば、ペンシルベニア大学やコーネル大学、ダートマス大学などの授業料と手数料、住居費、その他の費用を含めた学費が年間9万ドルもかかるそう。学生の多くは国や専門機関の支援を受けるために、実際に支払う額はこれよりも少ないといわれていますが、それでも負担は大きいでしょう。そうはいっても通っている学生がいるというのですから、これぞエリート、といったところでしょう。

 

いかがでしたでしょうか。

学費が高いというイメージがあるアメリカですが、負担をなくすための経済的支援プログラムとして「Financial Aid(ファイナンシャルエイド)」があります。これには、返済をする必要がない補助金と奨学金、返済の必要があるローンとワークスタディがあり、留学生は返済の必要がない奨学金のみ受けることが可能です。この奨学金制度の中にも、勉強やスポーツに優れた学生に支給される「メリット型奨学金」と学費を払うことが困難な学生に支給される「二ード型奨学金」の2種類があります。先進国でエリートになるための勉学に励みたいと意欲ある学生は、奨学金制度も視野に入れると良いかもしれませんね。

 

Text by yumeka