世界がますますグローバル化し、国境を越えて活躍する人材が求められる時代。しかし、日本と海外で「エリート」とみなされる基準は大きく異なることをご存知でしょうか? 今回は海外エリート教育の代表格であるフランスの教育に焦点を当て、日本の教育との違いや、世界が注目するフランスの教育システムについて深掘りしていきます。
教育の特徴
比較的自由度の高い教育が行われているフランス。
文学や芸術、哲学などにも重点を置き、自己表現や創造性も重視され、自由な発想を養うことを大切にしています。
超学歴社会であるフランスでは、小学校低学年は16時ごろまで、高学年になると18時ごろまで授業が行われます。道徳や生活、家庭科などの日常生活で必要になることは各家庭で学ぶものとし、学校の授業は学問中心です。日本に比べて、成績が自分の将来に大きな影響を与えるフランスでは、学校は学びに行く場所だということを理解し、熱心に学業に励む学生が多いように思います。
しかし、フランスは学校の休みになる日が
- カトリックの諸聖人の休暇が10月中旬~11月上旬の約2週間
- クリスマス休暇が12月中旬~1月初旬の約2週間
- 冬休みが2月上旬~3月上旬の2週間
- イースター休暇が3月下旬~4月中旬の約2週間
- 夏休みが7月~8月下旬の約8週間
と、日本よりもはるかに多く、低学年のうちは特に、休みの期間中にそれまで勉強したことを忘れてしまうことも多いようです。自己学習用に市販のドリルも販売されていますが、分厚いものは少なく、休み期間はしっかり休む、というポリシーが感じられます。そういった切り替えも学習に取り組む上で重要なのかもしれませんね。
フランスの学力の高さは?
経済協力開発機構が行っている世界各国の15歳児の学力を測る「PISA(国際学力調査)」では、学歴社会と呼ばれるフランスはいずれも日本よりも下の順位。しかし「15歳の時に賢かった人が、大人になった時にも賢いとは限らない。自分は自分、人は人」といった考えを持つフランス人は、この結果を知っても「それがどうした」というリアクションでしょう。それがフランス人らしさ、なのです。
働きながら学べる教育システム
フランスの学校とその費用
入試は二回にわたって実施され、試験期間は数週間に及びます。倍率は公表されていないようですが、厳しい戦いであることは明らかであり、2、3年の間勉強に費やし試験準備をするという制度も納得できるほど。多くのプレッシャーとストレスに耐え、努力し続けた学生のみが入ることのできる特権的な学校がグランゼコールなのです。また、グランゼコールに入ることのできなかった学生は一般的な大学の2年もしくは3年に編入する仕組み。フランスの公立学校の授業料は無料ですが、グランゼコールの学費は高額で裕福な家庭の子供でないと入学が難しいといわれています。
いかがでしたか。
フランスでは家庭における学校教育費と学校外活動費の負担を減らすため、国家予算の多くを教育に当てています。新学年度に経済的な支援が必要な家庭には「新学年手当」が給付されるそう。
また、フランスの教育の特徴や、なかなか複雑なグランゼコールなどについても理解していただけたかと思います。時代の移り変わりに合わせて変化していくといわれるフランスの教育制度。日本よりも成績が将来に大きく影響するからこそ、熱心に学業に励む学生が多いのかもしれませんね。
Text by yumeka