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ビスケットの歴史、クラッカーやクッキーとの違いをご紹介!

控えめな甘さとサクサクの食感で、幅広い世代に人気がある焼菓子の「ビスケット」。

コーヒーブレイクのお供としてもぴったりですよね。

今回は、ビスケットの歴史、クラッカーやクッキーとの違いなどについてご紹介します!

 

2/28はなぜ「ビスケットの日」?

安政2年(1855年)2月28日、水戸藩から長崎へ留学していた蘭医の柴田方庵が、オランダ人から学んだビスケットの製法を水戸藩に手紙で伝えたことを日記に残していました。

この日付が、日本でビスケットが作られていたとわかる最も古い記録です。

この日記の日付が2月28日であったことと、ビスケットの語源がラテン語で「二度焼かれたもの=二重に(22)焼(8)く」という意味であることから、2月28日がビスケットの日と定められたんだそう。

ビスケットの起源はいつ?

ビスケットが誕生したのは、今から1万年前のこと。

当時のバビロニア人は、なんと小麦粉を発酵させる原理を知っていました。事実としてバビロニア遺跡からは、彼らが小麦粉をこねてパンを作った道具や、その様子を描いた壁画が発見されています。

現代に近いビスケットが本格的に作られるようになったのは16世紀のこと。

ヨーロッパの宮廷に広まると、イギリスのエリザベス女王は、技師オスボンに命じて宮廷に焼き窯を作らせ、ビスケットを焼かせたといわれています。また、フランス王妃、マリー・アントワネットも宮廷でビスケット作りをさせていたそう。

やがて産業革命によって製造機械も高度化され、大量生産されたため、広く普及してきました。

ビスケットの名前の由来とは?

ビスケットの名前の由来は、ラテン語のビス(2度)・コウトゥス(焼かれたもの)から生まれたといわれています。

古くからヨーロッパでは、航海や遠征のための食糧として、日持ちを良くするために2度焼いたパンを持参する習慣がありました。

この2度焼いたパンがビスケットの起源であり名前の由来でもあります。この食糧としてのパンと、菓子としてのビスケットにはっきりとした区別はありませんでした。

 

日本に伝わったのはいつ?

1543年、種子島に漂着したポルトガル人が鉄砲とともにカステラ、ビスケット、ボーロといった南蛮菓子を日本に伝えたと言われています。

日本に上陸したビスケットは、バターなどの乳製品になじみがなかった当時の日本人の口にあわず、普及することはありませんでした。

 

明治10年(1877)、風月堂の米津松造が考案した「乾蒸餅(ビスケット)」が褒賞(ほうしょう)を受賞しました。

明治29年発行の明治時代中期の東京名物を描いた版画『東京自慢名物絵』の1枚で、左上に日本橋・若松町にあった風月堂の店舗と、「乾蒸餅(ビスケット)」の文字が見られます。

米津松造は、国産初のビスケットの製造販売に成功するなど、洋菓子界の草分け的存在として知られる人物です。

 

日本でもその人気が徐々に広がり始めたビスケットですが、大正12年(1923)発売のマリービスケットが大ヒット。

現在も発売されているロングセラー商品です。ちなみに発売当初は、単品ではなく、詰め合わせのビスケットの中の1つだったそうです。

 

ビスケットは、クッキーとクラッカーと何が違う?

よく似ている「ビスケット」「クッキー」「クラッカー」の違いは一体何でしょうか。甘いか甘くないかで区別していたという方もいらっしゃるかもしれません。

ビスケットもクッキーもクラッカーも、実は全部「ビスケット」なんです!ビスケットは小麦粉にバターと牛乳、卵、砂糖、香料などをまぜて一定の形に焼いた菓子を意味し、クッキーのほか、クラッカーや乾パン、パイなども含まれます。

 

3つの特徴を比べてみよう

ビスケットは、甘味が弱く、食感が軽いものが多い、という特徴があります。

クッキーは甘味が強く、しっとりとしたものが多いという特徴があります。

口どけがよくさっくりとした食感です。グルテンの少ない薄力小麦粉を使い、砂糖や脂肪を多くし水分を少なめに配合します。短時間で練って焼き上げることで、しっとりとした優しい口どけに仕上げます。

クラッカーは淡泊な味で軽くサクサクしているという特徴があります。

比較的グルテンの多い中力小麦粉を使用。砂糖や脂肪を控えめに、水分は多めに配合して、時間をかけて練って薄く焼き上げます。

そのため、硬めの歯ざわりになっています。生地の表面にガス抜きの小さな穴がポツポツと開いているのも特徴です。

また、日本では

  • クッキーは「手作り風の見た目で、かつ、原材料の糖分と脂肪分の合計が40%以上含まれるもの」
  • ビスケットは「クッキーの定義に当てはまらないもの」

と定義がはっきりと定められています。

 

上記の取り決めができた昭和46年の日本ではクッキーはビスケットに比べて高価なものだとされていました。

ビスケットはもともと携帯食として日本に伝わってきたため機械生産の安価なもの、というイメージに対して、クッキーは手作りの高級品、というイメージの違いがありました。

そのため、ビスケットのなかでもとりわけクッキーが区別されたのだと考えられています。

 

クッキーがアメリカの文化とともに日本中へ広がったのは戦後のことでした。

イギリスから伝えられたビスケットはすでに日本ではメジャーな食べ物になっており、この二つを区別する必要があったのです。日本におけるビスケットとクッキーの違いは、(社)全国ビスケット協会によって定められています。

 

3つのお菓子を例に挙げましたが、実はそれぞれ名前を分けて呼び分けているのは日本だけなんです。

イギリスでは焼き菓子全般をビスケットと呼び、そもそもクッキーという言葉そのものがありません。

アメリカではクッキーと呼び、ビスケットと言えば柔らかい菓子パンのことを指します。ケンタッキーフライドチキンのメニューのビスケットを想像してもらうと分かりやすいかもしれませんね。

フランスではビスキュイなどと呼ばれているそうです。

 

このように、国によってその表すお菓子が異なっているため、旅行で行かれた際は注目してみると新しい発見があるかもしれません!