WEDDING

ちょっと気になる世界のウエディング事情【アジア編】

神様に永遠の愛を誓う結婚式。みなさんは、世界中の花嫁さんがどんな結婚式を挙げているのか、気になったことはありませんか? ロマンティックな結婚式から、一風変わった結婚式まで、国によってさまざまな伝統や風習があるようです。

今回はそんな結婚式の伝統や風習を国別にご紹介します。まずは、アジアの国から見ていきましょう。

 

中国

男性22歳、女性は20歳から結婚が可能な中国。「十里歩けば風が変わり、百里歩けば路が変わる」といわれるほど、たくさんの民族が共存する中国には、民族ごとに異なる伝統があるようです。結婚式の日取りは、縁起がいいといわれている数字「8」の付く日が人気で、新郎は輿を使って花嫁を迎えに行くのが伝統的。しかし現代は、花や風船で飾った「婚車」と呼ばれる車を何台も引き連れて迎えに行くそうです。そして、新婦の家に迎えに行った新郎ですが、クイズやゲーム、ダンスなどをクリアしなければ新婦の元にたどり着けません。やっとのことで花嫁を迎えた後は、「敬茶(ヂィンツァ)」と呼ばれる、新郎新婦が感謝の意を込めて両親にお茶を捧げる儀式を行い、それからようやく祝宴、披露宴が始まります。ゲストはカジュアルな服装で出席する方が多く、披露宴の席次も特に決まっておらず、比較的自由な雰囲気の中で行われるそう。新郎新婦はゲストに配る「喜糖」と呼ばれるキャンディを必ず準備し、この飴には、飴のように甘い生活が送れますようにと言った意味が込められているようです。この他に「なつめ」「ピーナッツ」「干し竜真眼」「蓮の実」も用意します。これらは「早生貴子(ザォシァングゥイズー)」と呼ばれ「早く男の子を授かりますように」といった意味が込められています。都市部なら主にホテル、農村部ではレストランや自宅で結婚式をすることが多いようです。

 

タイ

結婚式の日取りは占い師に決めてもらうそうです。また、披露宴には200人~1000人と、日本よりもはるかに多い人数が集まります。引き出物などは重視していないようで、用意されないことがほとんど。代わりに、ご祝儀を受け取った時に粗品を渡します。こちらも、キーホルダーなど手作りのような簡単なもので終わることが多いようです。結婚式は僧侶の読経から始まり、そして僧侶が新郎新婦を白い紐で結び、その後、二人の手に水をかける「聖糸・聖水の儀式」が行われます。聖糸は2人の結びつきを示し、聖水は2人の結婚生活を清めるためのもの。参列者もそれぞれ新郎新婦の手に聖水をかけ、2人を祝福するそうです。

 

インド

年中気温が高いことで知られるインドでは、暑さが落ち着く10月~2月に結婚式を挙げるのが一般的だそう。インドの結婚式は、人生最大の大行事と言われるほど大規模かつ派手なのが特徴です。年収の4倍かかるといわれている結婚式の開催期間はなんと、短くて3日、長くて1週間。日取りは占い師が決めるようです。様々な儀式を終え、とうとう結婚式当日、新郎は白い馬に乗り、家族や友人と共にパレードしながら式場へ向かいます。式場では、新婦の親族がお出迎え。そこで新郎に壺を渡し、新郎はこの壺を片足で割るという儀式を行います。これは、結婚するのに十分な力があるかどうかをテストするという意味合いがあるそうです。新郎が壺を無事に割ってみせると、新婦が入口に登場し、新郎に花輪を渡します。そこで正式に結婚が決定するのです。その後、新婦の両親が新郎を式場の祭壇に連れて行き、アールティと呼ばれる火を灯したハンドル付きの香炉を、円を描くように新郎にかざします。これは幸運を呼び寄せる儀式だそう。このタイミングで新婦が新郎の前に姿を現すのですが、新郎が直視することができないよう新婦の前には布が掲げられています。その後、新郎と新婦は先ほどの花輪を交換し、新婦の両親が神に祈りを捧げます。そしてお互いの絆を深くするために、新婦と新郎のスカーフが結ばれ、聖なる火と呼ばれる「アグニ」の周りを回ったり、ステップを踏んだりして一生涯のパートナーとなることを誓うそう。その後、新郎が新婦の額に赤い粉を塗り、伝統的な黒いビーズのネックレスをプレゼントし、指輪の交換も行われます。このほかにも、様々な儀式が行われるインド。招待されていなくても、ご祝儀を持っていかなくても、着飾っていなくても、自由に式に参加することができるのも驚くところ。もちろん飲食も自由です。

 

カンボジア

雨が多いことで知られるカンボジアでは、乾季の入り始めの11月~5月あたりに結婚式を行うことが一般的だそう。一部の富裕層は結婚式場を借りて式を挙げるようですが、一般的には新郎新婦どちらかの家で特設会場を建てて開催します。式の開催期間はインド同様短くて3日、長くて1週間。結婚式の日数が長ければ長いほど富の証になるのだとか。引き出物などはなく、参加賞のような感覚でカンボジアの伝統的なキーホルダーが配られるようです。披露宴の朝は新郎家族が30種類のフルーツを持ち、新婦が待つ会場に向かうところから始まります。その後、日本同様にスピーチや指輪の交換、日本ではなじみのない新郎新婦が髪を切るという儀式が行われます。実際は髪を切る真似をするだけのようですが、過去の災いを祓い、これからの人生の門出を祈るという意味が込められているそう。それが終わると、いよいよパーティーの始まりとなります。パーティーでは、バンドの生演奏や、伝統的なダンスなど、クラブハウスのような盛り上がりを見せるそうです。

 

フィリピン

フィリピン人の80%以上はカトリック信者のため、結婚式は教会で行われることが多いようです。そして、フィリピンの結婚式には、スポンサーと呼ばれる新郎新婦と縁のある親しい方が出席します。スポンサーは新郎新婦と共に式典の祈りに参加し、その際、ポーチに入れられた13枚のコインを運び、新郎新婦が永遠の誓いをした後に受け取る役割があるようです。また、結婚前の個々の生活を2つのキャンドルで表す儀式も行われます。この儀式は、1つのキャンドルは吹き消し、もう片方のキャンドルは残すようにするそう。その後、マネーのダンスと呼ばれる踊りが披露されます。これは、新郎新婦が踊りだしたら、呼ばれたゲストは幸運の印として、お金を持って踊っている二人に貼るといった儀式です。結婚後の新郎新婦への経済的支援につながる重要な儀式だとか。

 

国によって全く違う

いかがでしょうか。

私たち日本人も「神前式」「仏前式」「人前式」と希望の結婚式を挙げることができ、衣装も、白無垢、色打掛、ウエディングドレスなどさまざまです。国によって新郎新婦の衣装が違うのも魅力的ですよね。また、同じアジア圏であるのにもかかわらず、国や地域によってさまざまな風習や文化があることに驚いた方も多いことでしょう。

次回は「ちょっと気になる世界のウエディング【ヨーロッパ編】」。美しい風景が多いイメージのヨーロッパでは、いったいどんな結婚式が行われるのでしょうか。

 

 

Text by yumeka