「お母さんから聞いたよね。…お姉ちゃんにも心配と迷惑かけてごめん」
「いいよ、そんなこと。それより、大丈夫?」
「うん。今日、相手の女と話してきた。お姉ちゃんも知ってる人だってね。証拠だしたら、渋々認めた。お姉ちゃんとわたしの繋がりも知ってたみたいで、結婚するためにお姉ちゃんを取り込もうとしてたんだって」
―それなのに、あんなにマウントとってたんだ。
余程追い詰められていたのだろうか。
「お姉ちゃんとわたしの仲がよくないって勘違いして、チャンスだと思い込んだみたい。ま、念書も書かせたし、これで確実に浮気の言い逃れできないからね」
真奈美はしてやったり、と笑う。
「でも、今後どうするの?離婚とか…」
「離婚はしないよ。悠斗もいるからね。でも、慰謝料は請求するつもり」
「真奈美、強くなったね」
「結婚して子供もいるとね。強くないとやっていけないよ」
「あーあ、わたしも早く結婚したいなー」
「え、お姉ちゃん結婚したいの?」
清水のことを話すと、真奈美は応援してくれた。
「そういえば、真奈美はどこで友則さんと出会ったの?」
「うーんと、ナンパかな」
真奈美が照れたように言う。
「街歩いてたらね。今思えばめっちゃ怪しいけど、わたしも若かったし。何より友則、かっこよかったし」
それには同感だった。
浮気はしたけれど、あんな男をゲットできる真奈美が羨ましい。
明日も早いからと、0時を回った頃に真奈美は部屋に戻った。
―取り敢えずは清水さんとのデートに賭けなきゃね。
布団にもぐり目を閉じると、だんだんと記憶が薄れていった。