NOVEL

選ばれない女 vol.8~やっぱりわたしの目に狂いはなかった~

「お母さんから聞いたよね。…お姉ちゃんにも心配と迷惑かけてごめん」

「いいよ、そんなこと。それより、大丈夫?」

「うん。今日、相手の女と話してきた。お姉ちゃんも知ってる人だってね。証拠だしたら、渋々認めた。お姉ちゃんとわたしの繋がりも知ってたみたいで、結婚するためにお姉ちゃんを取り込もうとしてたんだって」

 

―それなのに、あんなにマウントとってたんだ。

余程追い詰められていたのだろうか。

 

「お姉ちゃんとわたしの仲がよくないって勘違いして、チャンスだと思い込んだみたい。ま、念書も書かせたし、これで確実に浮気の言い逃れできないからね」

真奈美はしてやったり、と笑う。

 

「でも、今後どうするの?離婚とか

「離婚はしないよ。悠斗もいるからね。でも、慰謝料は請求するつもり」

「真奈美、強くなったね」

「結婚して子供もいるとね。強くないとやっていけないよ」

「あーあ、わたしも早く結婚したいなー」

「え、お姉ちゃん結婚したいの?」

 

清水のことを話すと、真奈美は応援してくれた。

 

「そういえば、真奈美はどこで友則さんと出会ったの?」

「うーんと、ナンパかな」

 

真奈美が照れたように言う。

 

「街歩いてたらね。今思えばめっちゃ怪しいけど、わたしも若かったし。何より友則、かっこよかったし」

それには同感だった。

 

浮気はしたけれど、あんな男をゲットできる真奈美が羨ましい。

明日も早いからと、0時を回った頃に真奈美は部屋に戻った。

 

―取り敢えずは清水さんとのデートに賭けなきゃね。

 

布団にもぐり目を閉じると、だんだんと記憶が薄れていった。