次の日いつもどおり出社するも、美里の姿は見えなかった。
上司に聞くと、〝急に用事ができたので有給を使わせてください″と昨日電話があったらしい。
前回▶選ばれない女 vol.7~なんか、もう、婚活辞めたいな~
はじめから読む▶選ばれない女 vol.1~婚活パーティー~
「結婚も近いからバタバタしているのかしらね」
と笑う上司の様子からすると、事実を知らないようだ。
美里は一体どういうつもりなのだろうか。
不倫相手は愛沙の妹の夫だと知っていて、過ごしていたのだろうか。
知っていたのなら、彼女はどういう気持ちで愛沙といたのだろうか。
―はあ…、今は仕事に集中しよう。
考え事は次々と湧いてくるが、考えても仕方がないと、とりあえず今日1日を乗り切ることにした。
帰路、携帯を確認すると結婚相談所から連絡がきていた。
林から、清水とマッチングしデートができるとの報告だった。
―まあ、わたしが断られるはずないよね。
デートの日付を確認し、シミュレーションする。
服は、買ったばかりのあのアウターを着よう。
それまでにエステ行って、AYURAのマスクでパックもして…。
考えていると、あっという間に家の前まで着いていた。
「お姉ちゃん、ちょっといい?」
夕飯後、自室で〝不倫対処法″とネット検索していると、真奈美が遠慮がちに入ってきた。
「うん。どうしたの?」
真奈美は少し離れた位置に座り、ひと呼吸おき意を決したように言う。