NOVEL

選ばれない女 vol.8~やっぱりわたしの目に狂いはなかった~

次の日いつもどおり出社するも、美里の姿は見えなかった。

上司に聞くと、〝急に用事ができたので有給を使わせてください″と昨日電話があったらしい。


前回▶選ばれない女 vol.7~なんか、もう、婚活辞めたいな~

はじめから読む▶選ばれない女 vol.1~婚活パーティー~

 

「結婚も近いからバタバタしているのかしらね」

と笑う上司の様子からすると、事実を知らないようだ。

 

美里は一体どういうつもりなのだろうか。

不倫相手は愛沙の妹の夫だと知っていて、過ごしていたのだろうか。

知っていたのなら、彼女はどういう気持ちで愛沙といたのだろうか。

 

―はあ…、今は仕事に集中しよう。

 

考え事は次々と湧いてくるが、考えても仕方がないと、とりあえず今日1日を乗り切ることにした。

 

帰路、携帯を確認すると結婚相談所から連絡がきていた。

林から、清水とマッチングしデートができるとの報告だった。

 

―まあ、わたしが断られるはずないよね。

 

デートの日付を確認し、シミュレーションする。

服は、買ったばかりのあのアウターを着よう。

それまでにエステ行って、AYURAのマスクでパックもして

考えていると、あっという間に家の前まで着いていた。

 

 

「お姉ちゃん、ちょっといい?」

夕飯後、自室で〝不倫対処法″とネット検索していると、真奈美が遠慮がちに入ってきた。

「うん。どうしたの?」

 

真奈美は少し離れた位置に座り、ひと呼吸おき意を決したように言う。