NOVEL

選ばれない女 vol.5~ENHANA~

日々の疲れが抜けず、へとへとになる毎日。

仕事の疲れもあるだろうし、年齢のせいもあるだろう。

最近は婚活を始めたため、さらに体にも心にも負担が出ているのかもしれない。


前回▶選ばれない女 vol.4~マッチング~

はじめから読む▶選ばれない女 vol.1~婚活パーティー~

 

だから、中高の同級生で友達でもある加菜から〝久しぶりに会わない?″と連絡がきたときは素直にうれしかった。

久々に気の置けない友達と思い切り話をしたかった。

 

加菜は3年前、32歳のときに結婚した。

相手は大手企業の営業課長。

結婚式で一度会ったきりで愛沙の好みではなかったが、くりくりした目に明るい人柄の、人好きする男性だった。

 

子どもはまだおらず時間の融通がきくため、加菜とはたまに連絡をとっては会っている。

 

〝会おう!わたしも話したい^^″

 

お店と時間を確認し、じゃあまた、とその日はやり取りを終えた。

 

加菜から送られてきた店名は、愛沙もよく行く店のものだった。

約束の時間の10分前に名古屋駅で、加菜を待つ。

すると、すぐに愛沙を呼ぶ声がした。

 

「おお、愛沙~、ひさしぶり~!」

手を軽く振って現れたのは、加菜だった。

薄手の黒ニットにきれいめAラインのベージュのスカートが秋らしい。

「久しぶり。元気にしてた?」

挨拶もそこそこに、名古屋駅にあるビルの最上階に向かう。

 

今日は比較的空いているのだろうか、お客さんがまばらだった。

「旦那さんは元気?」

席についてワインを頼み、開口一番に聞く。

「うん。毎日元気よ。でも最近ちょっと太り気味なの。ジムに通うように勧めてるんだけどね」

彼運動嫌いだから、と困ったように笑う。