「私、どうしたらいいの?」夫の不審な行動に晴れぬ心。
迷った末に辿り着いた結論は。
はじめから読む▶年収一億超えの妻たち vol.1~結婚記念日なのに~
沈む夕日。
窓から、その光景を呆然と眺める私。
あれから何時間が経過したのだろうか・・・?
口紅の付着したハンカチを発見し、心が一気に沈み込んで、それから・・・?
正直、あれからのことは殆ど覚えていない。
ただ苦しくて、切なくて、そんな思いに苦しめられて…。
気が付けば、かなりの時間が経過していた。
家政婦の早苗さんがいるといっても、その全てを彼女に任せるわけにもいかないし、私にだってやらなければならないことは少なからずあるが…。
それを実行に移すだけの気力がない。
(まだ、やらなければならないことはあるのに…)
しかし、そんな思いとは裏腹に肝心の体の方が、まるで別の存在であるかのように動かなかった。
(何で動いてくれないの?)
私は自分の体に対して、心の中で問いかける。
当然、答えなどありはしない。
でも何で、こんなにも体が動かないのか・・・?
こんな経験は初めてだった。
これが無気力というものなのだろうか?
初めての感覚に戸惑いが生じる。
しかし、このままというわけにもいかない。
(でも、一体どうしたら?)
私は頭を悩ませた。
そんな時、不意に早苗さんが声をかけてくる。
「大丈夫ですか、奥様? 顔色が優れませんが?」
「あ…早苗さん? え、ええ、大丈夫よ」
「そうですか…。それなら良いのですが…」
彼女は私の言葉に頷く。
でも・・・。
その表情を見る限り、きっと早苗さんは私の言葉を信じてはいないだろう。
明らかに心配しているであろう表情が窺えるからだ。
つまり、隠したところで無駄ということ。
それならばいっそ・・・。