「大丈夫です、奥様。旦那様は奥様を悲しませるような事は絶対に致しません」
「本当に…?でも…このハンカチについているのは誰かの口紅なのよ?」
「はい、確かに口紅ですが、だからといって浮気をしているわけではないと思いますよ」
「本当に、そう…なのかしら…?」
その一言を聞いてなお、不安が拭い去れず私は彼女に問いかける。
早苗さんはなぜそんなに自信を持って、断言できるのだろうか?
なぜ・・・?
心の中を渦巻く迷い。
払拭できない疑惑。
それでも今の私は、信じることしかできなかった。
彼女の言葉を…。
そして、夫の誠実さを…。
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夫・雄一郎のハンカチに口紅が付着しているのを発見し落胆した美佳は、家政婦の早苗に相談に乗ってもらうのだが、早苗の口から思いもよらない言葉が飛び出す。