NOVEL

引きこもり女の裏側 vol.5 ~誰も知らない家での楽しみ~

 

だから、前を向かなきゃ。

なぜなら、悩んでいる時間がもったいないから。

 

恋をしよう!

 

恋愛でついた傷は、恋愛でしか癒されないって、誰かが言っていた…気がする。

 

「この写真いいかも。」

 

公平と写った写真。自分だけをトリミングして登録する。

幸枝がハマっていること、それは、マッチングアプリだった。

 

マッチングアプリを使い始めたのは、2か月前。ネットサーフィンをしていたら、アプリの広告が現れた。邪魔だ、と思いながらスクロールしていたら、知らないうちにタップしていたようだ。広告に飛んでしまい、見ているうちに興味がわき、登録した。

ほぼプロフィールを埋めずに登録したが、すぐに幸枝を気になるという人が現れた。そういう人は、数人いた。

今までアプローチをされたことがなく、寂しかった幸枝はレスポンスがくるのが面白かった。

 

「写真見たいです。」

 

やりとりが進んでくると必ずと言っていいほど言われたので、面倒になって最初から顔写真を登録することにした。

すると、その日からアプローチされる数が格段に伸びた。

 

「美人さんですね。」

 

と言われることが、うれしくもあり恥ずかしくもあった。注目度を具体的な数字で表されることが、また幸枝のやる気を上げた。

曖昧な〝モテる″に、基準がうまれるのだから、これは楽しい。

 

それから幸枝は、いかにいいねをもらい、いかに多くの男性とやり取りするか研究することに時間を費やした。

どのような話題がいいか、絵文字は?返信のタイミングは?

相手の性格によって、健康状態によって、環境によってもそれらを変えるのがいいだろう。

 

積極的な男性は、幸枝を照れもせずにもちあげた。