NOVEL

Second Woman vol.3~好意と思惑の狭間~

「ありがとう。無理に誘ったから来ないかと思った」

目を合わせずにそんなことを呟く。

「そんな、ドタキャンしたりしないですよ。大体キャンセルしようにも連絡先わからないし」

「社内アドレスならできるでしょう?」

「あんなの使ったらシステム課にバレバレじゃないですか」

それもそうね、と言ってカクテルを一口飲む。

俺もつられて一口飲む。

 

何を話したらよいのだろう。見ると彼女は昼間とは違う服装だった。

一度家に帰ったのだろうか。

そして唐突に質問をする。

「ねぇ、加瀬くんは誰かパートナーはいるの?」

彼女の言動はいつも唐突だ。

「さっきのカクテルの名前、教えてあげる」

最初に飲んでいた一杯。

 

 

淡いオレンジ色のロングだった。

「キスミークイックよ」

彼女はそう言って意地悪そうに微笑んだ。

 

 

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人事部長との不倫から海外へ異動となり最近帰ってきたばかりの加澄に複雑な想いを抱いている純は、聞いてはいけないと知りつつも酒の勢いも手伝って、二人の関係についていろいろ質問を投げかけてしまう。