NOVEL

Second Woman vol.3~好意と思惑の狭間~

でも…そのせいだったのだろうか。

確かに彼女は好みだった。でもそれ以上に彼女の持つ雰囲気が俺に違和感を感じさせている。

目を離せないような一緒にいる空間をもっと共有したいような。

車で送ったあの日から2週間ほどが経っている。あの時に連絡先を伝えておけばよかったと思った。

 

あれから何度か休憩室に行き、コーヒーマシンを使っている間に会えないだろうかと考えることが多くなった。

そんな都合よく会うことは現実にはないわけで、いつもたった一杯のコーヒーを淹れて席に戻るのだった。

今日も同じパターンだ。

レギュラーコーヒーを淹れて休憩室を出る。ふと気分転換したくなってベランダに向かった。

テラスのような造りでやや広く、そこで仕事をすることができるエリアだ。

 

 

ちょうど煮詰まった案件があるから外の景色でも眺めて戻ることにするか。

そう思っていたら声をかけられたのだった。

 

「あら、フラットホワイトくん」

彼女だった。

「…お疲れ様です。フラットホワイトじゃないですよ。加瀬です」

「知ってる。この間名前聞いたもの」

すっと隣に来て外を眺める。手にはコーヒーカップを持っている。

これはフラットホワイトなのだろうか。それともカプチーノなのだろうか。それともラテ?

見た目ではよくわからない。

‘ジュンはコーヒーの種類覚えるのニガテなんだね’

もう何年も前に言われた言葉を思い出す。

表面にミルクフォームがあるだけではわからない。けれど彼女の持つ一杯がフラットホワイトだといいのに、と思った。

 

「加瀬くん、この間はありがとう。助かったわ。でも何でシャツ持っていたの?」

今日の彼女は一分袖の白いカットソーだ。

肩から手にかけてなめらかな肌が目に入る。

「営業やってた時のクセなんですよ。真夏の暑い時期に何軒も回ると汗だくのまま次の取引先に行くでしょう?それだと印象が悪いんで着替えてたんです」

新卒の時に先輩に教えてもらった習慣が今もあって会社に置くようにしていたのだった。

「マジメね」

口角だけを上げて微笑む。

石田が言っていたようにミーティングでもこんな風に微笑んだのだろうか。