NOVEL

御前崎薫は…vol.7~打ち明ける~

「ぜひまた、今日みたいにお出かけしましょう。お互いの、その、苦手克服のために」

「えぇ。ただ、思いつきみたいなものですから、本当に効果があると良いんですけど」

苦く笑う僕に、槙さんは「ありますよ!」と力強く断言した。

 

「だって……見てください。私、今、足震えてないんですよ」

そう言う彼女の足は、確かに、異性の部屋の前にいるのに、ピッと立っていて。

僕らは初めて、顔を見合わせて笑った。

 

 

Next722日更新予定

御前崎薫は先週、隣人の槙に連れて行ってもらったボルダリングジムで一人汗を流す。そこで、偶然にも一人で来ていた槙と遭遇する。