健一さんに辛かったことを全て聞き届けて貰ったあと、私はひとつのお願いをしました。
「あの、健一さん」
「なんです?」
「よろしければまた話を聞いてくれませんか?」
「構いませんよ。私でよろしければいつでも」
それを健一さんはふたつ返事で引き受けてくれました。それからというもの、私は時間があればあの日のバーに通い健一さんとお話をしました。
彼と話してると自然と気が楽になり、どんな悩みでも話せました。
思えば、これが初めて自分から人を好きになった瞬間かもしれません。
初対面の私にでも親身にしてくれた、誰であろうと相手を思いやって行動できる人。それが健一さんでした。
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バーで出会った健一に清美は辛かったことを全て吐き出し、自分の辛さを知ってもらった。そして健一と清美は再び会う約束をする。清美は誠実な健一にだんだん惹かれ始める。