どこから、どこまで…が、小枝子が仕組んだことなのか。
『莉子って天然悪女だよね。ヤルの好き?』
あの時、莉子は…。
「別に。そんなの、相手を喜ばせるパフォーマンスでしょ?」
と答えた。
『莉子が溺れる姿。見てみたい。』
そう言いながら、下品な引き笑いをした小枝子の口元が蘇る。
「ああ…そういう事かぁ…」
『恋は落ちるもの』
でも…その原理が解れば、興味を失うもの。
莉子は、脱ぎ散らかした下着を身にまとい、バスルームを掃除している昭人のところに向かった。
準備よく、莉子が使っているフレグランスの入浴剤まで用意されていた。
「ねぇ、昭人さん。小枝子の事も、あんな風に抱いたの?」
昭人の手がとまり、僅かな動揺は見られたが、流石は起業アドバイザーだ。
見てくれ、外面、そしてその演技力で、深いため息をついて全てを相殺した。
「なんだよ、そんな話、したくないなぁ…せっかく…」
昭人の瞳に映った莉子は、さっきまでの生娘のようでいて、でも欲に落ちて溺れていく女ではなくなっていた。
冷たい眼差し、少し歪めた唇。
明らかに、軽蔑を現している立ち姿。
「莉子?」
流石の昭人の声も上ずり、唇が異様な形に歪んだ。
「楽しかった?ゲームは…。遊川昭人さん。神楽小枝子との賭けは、貴方の勝ち?…それとも、負け?」