NOVEL

マザーズカースト vol.9~ぞんざいな仕打ち~

「嫌がらせには腹が立ったけど、私も恵美梨さんを庇いきれずにいたんだから千奈美さんを責めきれないわ」

 

そして私と千奈美さんは和解し、これからは同じ「子を持つ母親」として支え合う友人になれるようにと互いに誓ったのだった。

 

-カーストの崩壊-

 

千奈美さんと和解した私は、再びママ友のランチ会に招待された。

事情を知らないママ達は

(なぜ嫌がらせをされてまで顔を出すのかしら?)

と相変わらず嫌味な表情を見せていた。

 

そんな中、千奈美さんは改めてみんなのいる前で私に向けて今までの行為を謝罪した。

そして改めて母親同士仲良くしていこうとみんなに呼びかけたのだった。

 

なんと返事してよいのかわからず沈黙する空気に割って入るように、小百合さんが

「千奈美さん、急に手のひらを返すことおっしゃってるけど、それって自分の旦那が結衣さんの旦那さんの部下だからじゃなくて?」

そんな嫌味を言い出したのだ。

すると周りのママ達もここぞとばかりに

「今まで散々自分が先陣をきって他のママ達を蹴落としてきたくせに、今更自分だけいい人面するなんて」

「千奈美さんに逆らえないからこれまで言う事聞いてきたんじゃない」

と次々に千奈美さんを攻め出した。

 

 

これまでママ友達の間で絶対的存在だった千奈美さんが攻められる立場となった今、ママ友達に浸透していたカーストが崩壊した瞬間だった。

 

ここまでみんなが口を揃える中で、私がいくら宥(なだ)めても無駄だった。

攻められ続ける千奈美さんを放っておけず、私はつい強気になり

「こんなくだらないママ友グループこっちからお断りです。千奈美さん行きましょう!」

と言って千奈美さんを連れてその場を立ち去った。