気づいたときには和哉さんの手を離し、目の前のケーキを気まずい顔で見つめていた。私は和哉さんの顔を見ることができなかった。
私の言葉を聞いて、周りにいた人たちも気まずそうだった。少しずつ周りがざわざわし出し、気づいたときにはプロポーズを受ける前の騒がしさに戻っていた。違うのは、私と和哉さんが無言なことだけ。
「結婚したくないわけではないんです。でも、少しだけ気持ちを整理させてください」
私は和哉さんと結婚したいという気持ちがないわけではない。むしろ、結婚したい。「結婚」という言葉を聞いたとき、頭に斗真の姿が思い浮かんだ。タキシードを着た斗真とウエディングドレスを着た悠里さんが、チャペルで手を繋いでいる姿が。
「大丈夫ですよ、僕は待ってるんで」
私の都合で保留にしたのに、和哉さんは優しい笑顔を見せてくれた。
そして、一瞬の間を空けて、和哉さんの口から予想外の言葉が発せられた。
「この前見ちゃったんです。莉奈さんが他の男性と話しているところ」
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結婚相談所で知り合った和哉からのプロポーズを保留にしてしまった莉奈だが、一週間後、彼に本当の気持ちを伝えようと電話をかける。莉奈の和哉に対する思いとは!?次回・最終章で明らかに!