今はたかだか24歳だが、アラサーになったとき独身でいるのが嫌だった。そう思うと時間はなかった。ずっと中身のない話をしていた私たちだが、話をしているうちに沈黙が訪れる。耳に入るのは風の音だけ。ふと斗真の方を見ると、景色を眺める横顔がいつもより綺麗に見えた。
「斗真ってさ、結婚のこととか考えてる?」
我慢できずに問いかけると、斗真は驚いた顔で私を見つめる。そして目を逸らしながら言葉を返した。
「30歳までには結婚したいと思ってるよ」
その言葉を私はどう受け取れば良いのだろうか。私と結婚したいとも結婚したくないとも言わなかった。だけど、私は全て都合良く受け取るしかない。
斗真が30歳になるまでに、私にプロポーズしてくれる。
そんな補償は全くないのに、私はそう思っていた。いや、そう思い込んでいただけなのかもしれない。
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結婚について言及してから、だんだんと二人で会う機会が少なくなった莉奈と斗真。デートに誘っても「仕事が忙しい」と返ってくるばかで莉奈は不安を募らせる。