NOVEL

【女の顔に化粧をすると】vol.1~思いがけない知らせ~

最小限の努力で最大限の効果を生み出す。それができれば、仕事とプライベートの時間は自ずと別れ、両立されていく。ドラッカー曰く、既存のものは瞬間事に陳腐化していく。日々やり方を更新していけば、マネジメントをしくじることはない。

 

「さて、今日の仕事は、と。」

パソコンのカレンダーに目を落とした。

 

 

一本の電話が鳴った。

「お電話ありがとうございます。株式会社楽趣味の島田が承ります。」

はい、はい。課のメンバーの島田がうなずきを返す。そして、こちらを見て、話しかけてきた。

「タイアップ予定の早苗アニメーションの広報部担当、米田様からお電話です。」

 

1番の保留ボタンを押し、受話器をとる。

「はい、お電話変わりました。真鍋です。」

「あぁ、お世話になっております。米田です。」

 

気の良い男性の声がする。先日酒の席をともにした、先方広報部の部長、米田だ。角刈りに黒ぶちの眼鏡をかけた50代の男性で、砕けた敬語で親しみやすい喋り方をする。

「いやぁ、いきなりのお電話すみません。今お時間大丈夫でしたか?

「いえ、先日はありがとうございました。大丈夫ですよ。」

「すみませんねぇ。本日はお話がありまして・・・。」

電話越しに、少しの咳払いが聞こえた。

 

「御社とのタイアップ、一度保留にさせて頂きたくお電話しました。」

 

 

Next317日更新予定

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