NOVEL

「Lady, Bloody Mary」~女の嫉妬~ vol.7

会社の威信を掛けた一大プロジェクトのプレゼン大会が遂に開催される。

お局美魔女リノとハイスペ男子坂間のキスシーンを目撃して、紗夜は動揺する。

一方、急激に運命のように引き合う聖奈とアオ。

その夜、紗夜は...。

 


前回:「Lady, Bloody Mary」~女の嫉妬~ vol.6

 

 

大会議室、名古屋支店の重役たちを前にし、パワーポイントを駆使して原稿を読んでいるのは聖奈であった。

オペレーション部の助けもあり、若さゆえのアイデアを盛り込んだ、印象的でポップでインスタ映えもする箇所を盛り込んだエンタメ色が強いプレゼンを発表した。

無事に終わり、拍手が上がる。上司たちの評価も上々だ。

 

次に上がったのは、リノだった。既に海老原から幹部たちへの裏取引きも終わっている。

あんなに「尽くした」のだからきっと私が選ばれるだろう。

リノは高齢化、バリアフリーを中心に様々な年齢の人々が集い会えるようなコミュニティを強く押し出したものとなった。

実に堅実な案であったが、正直目新しくはない。

幹部の一人はにやにやとしながら、資料に目を通すことなくぼーっとしている者もいた。

気合を入れて朝から巻いてきたアッシュを入れた長い髪の毛を掻き上げながら、笑顔を絶やさず、無事に終えることができた。拍手が上がる。

 

 

最後にプレゼンをするのは紗夜だ。ひどく顔色が悪い。

彼女の顔を見た坂間が

「小竹さん、大丈夫?」

と声を掛けるが、紗夜の耳には聞こえていないようだった。

 

紗夜は、昼に行われる万人に受けるイベントのエンターテイメント色を強化して、夜は婚活や男女の出会いを美しく夢のように演出し、メディアにもアピールできる名古屋のホットスポットにしたいと、淡々とプレゼンした。

上手くまとめられており、プロジェクト終了後の屋外も、木々を植え憩いのスポットにするという再開発案まで出してきた。

完成度は間違いなく紗夜が一番であった。

 

しかしそれを読み上げる紗夜の表情、声色はいつもと違い、同僚も思わず顔を見合わせる。

大きな拍手に無理矢理笑顔を作り、紗夜は席に戻った。

プレゼン発表が終わり、思わず坂間はMacを持つフラフラな紗夜に話しかけた。そんな坂間をリノが見つめている。

 

「どうしたの?今日、調子悪い?医務室へ行く?」

「...いいえ、大丈夫。気にしないで」

といいつつも、ふらりとよろける。それを支えたのは坂間だった。