候補を挙げても選ばず任せきり。本当に一緒にいて楽しいのか不安になる。
ただ言われたとおりに動いているだけにしか見えない。そんな感じのことを言われました。
「ただ私に合わせているだけで、清美さん自身が進んで付き合っているようには思えません」
そう言われると、そうかもしれません。楽しくはありましたが自分で何か考えていたかというと疑問があります。
「そして何より、清美さんのお母さまにも問題があります」
私個人より、母のほうが問題だと庄司さんは言います。
私自身は知りませんでしたが、母は庄司さんに何かと要求をしていたそうです。
デートの行先はどこへ行くべきだとか、高級なお店で過ごすのが相応しいだとか、仕事の調子はいいのかとか、もっと服装に気を遣うべきだとか。
「そんなことでは細川家に相応しい人にはなれませんよ? もっと清美の旦那になるという自覚を持って行動して頂かないと」
仕事の出世についてや礼儀作法なども細かく指摘されたらしいです。
「由緒ある家系なのは重々承知していますが、それを笠に着て横暴な態度を取る事は不快です」
何も言い返せませんでした。庄司さんが言っていることは筋が通っており、反論の余地のないものでした。
「これから清美さんと生きていくことを考えた時、事あるごとにお義母さんから高圧的な態度を取られるとストレスでしかありません」
「ごめんなさい。ごめんなさい……」
私はただ謝る事しか出来なかった。
確かに母は細かいことを指摘しますし、上からものを言う事が多いと思います。
ですがそれは家族にだけで、他の人にもそうしているとは思っていませんでした。
「清美さんは良い人かも知れませんが、親の言いなりで、自分で決められない人は不安です」
その言葉に、私は愕然とした。
親の言いなりという点は否定できませんが、自分で決められないとは思っていなかったからです。
「清美さんは本当に好きで私と付き合っているんですか? 言われたから、決められたから結婚するだけ。そこに自分の気持ちも何もないように思えます」
庄司さんは確信をもって、はっきりと告げてきました。
「そんな人と一緒になって幸せになれると思いますか?」
もう、言葉もでません。自分の意志があったのか?