寒い冬が訪れることを嫌だな、と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな冬に体験できるアクティビティといえば「スキー」。
前回は、スキーの奥深い歴史をご紹介しました。
今回は、スキー競技の種類やルールについてご紹介します。これを知れば、競技観戦もグッと楽しくなるはずです。
前回:ウィンタースポーツの定番 スキーの魅力にせまる【歴史編】 |
目次
【6種類のスキー】
かつて国際大会では3種目のみだったスキー競技。現在は主に6種類ものスキー競技が行われるようになりました。
種目別にそれぞれのルールをご紹介します。
①アルペンスキー
急斜面を滑走するスピード感と躍動感を味わうことができる競技、アルペンスキー。
雪の斜面に2本1組の旗やポールを立てて作られた旗門に沿って、斜面を滑降しタイムを競うというシンプルな競技です。
アルペンスキーにはそれぞれルールが異なる6つの種目があります。
- アルペンスキーの種目の中で最もスピードが出る「ダウンヒル」
- ダウンヒルよりも旗門の間隔が狭くなり、大中のカーブを曲がる「スーパーG」
- 大中小のカーブを規則正しく曲がることが要求される「ジャイアントスラローム」
- 急勾配で行う細やかなターン技術とスピードが要求され、腕や脛でポールをなぎ倒していく技術系種目「スラローム」
- アルペンスキーの中から2つの種目を組み合わせて行う複合種目「アルペンコンバインド」
共通する基本ルールとしては、規定の保護ヘルメット、スキーレーシングスーツに身を包み、ストッパーが付いたスキー板を使用する。
また、公式大会では種目ごとにスキーの長さやスキー板のサイドカーブにも規定があるそうです。
②スキージャンプ
高所からスキーをつけたまま空中に飛び出す迫力あるの競技、スキージャンプ。
飛んでいる間のフォームや、飛距離、着地の美しさなどを競います。
ジャンプ台の建築基準点をK点と呼び、そのK点を基準にして飛距離を計算します。踏み切りの先端からランディングエリア限界点(安全に着地できる地点)までの距離のことをヒルサイズといい、それによって種目も変わってきます。
正式種目としては、
- ヒルサイズが85m~109m、K点が75m~95mの「ノーマルヒル」
- ヒルサイズが110m~184m、K点が105m~125mの「ラージヒル」
- ヒルサイズが185m以上、K点が145m~185mの「フライングヒル」
と上記のような種類があります。
国内試合では主に、ノーマルヒルやラージヒルが使われています。飛行点は最高60ポイント。5人の審判がジャンプごとに得点を付け、最高点と最低点をカットした3人の審判の合計得点が採用されます。
スタート予定の選手には、競技進行状況を知らせるための目印として、3つの信号が使用され、選手は青信号に変わってから10秒以内にスタートを切らなくてはなりません。
スキー板の特徴としては、落下を遅らせるために幅が広くて長く、軽いものを使用します。
③クロスカントリー
北ヨーロッパを中心に盛んで、持久力を必須とした競技、クロスカントリー。
スキー板にブーツのつま先部分のみビンディングで固定し、かかとは浮く状態で雪の積もった森林や丘、野原などを滑って、ゴールまでのタイムを競います。
クロスカントリーには2種類の走法があります。
ひとつは、左右交互にすり足のように板を滑らせるクラシカル走法。これは、アイススケートのように滑るスケーティングは認められていません。
もうひとつはフリー走法といって、走法に制限がなく、下り坂以外はほぼアイススケートのようなスケーティングで滑走します。走行距離は5km~50kmまで複数あり、大会によって異なります。
種目は
- クラシカル走法で男子15km、女子10kmを走る「クラシカル」
- フリー走法で、男子50km、女子30kmを走る「フリー」
- 前半はクラシカル走法、後半はフリー走法で走る「スキーアスロン」
- 前半はクラシカル走法で時間差スタートし、後半はフリー走法で順位が高い選手から時間差でスタートする「パシュート」
その他、リレーなどの団体種目もあります。
スキー板の幅はアルペンスキーの半分程度で、金属のエッジがついていないのが特徴です。また、ストックは、肩の高さ近くまである長いものを使用します。
④ノルディック複合
スキージャンプとクロスカントリースキー両方の成績で競う高度な競技種目、ノルディック複合。別名、ノルディック・コンバインド。
冬季五輪、世界選手権、FISワールドカップでは、「グンダーセン方式」が採用されています。この方式は、前半にスキージャンプを行い、その得点差をクロスカントリースキーのタイムに換算し、成績が良い順から後半のクロスカントリースキーをスタートさせるもの。
クロスカントリーをゴールした順に総合成績が決定します。
他にも、全選手が一斉にクロスカントリースキーをスタートする「マススタート方式」もあります。
こちらの方式は、スキージャンプの合計ポイントと、クロスカントリーでのポイントを合算し、合計ポイントが最も多い順に順位を決定するものです。
1チーム4人の団体戦と、1チーム2人のチームスプリントの種目もあります。
⑤バイアスロン
クロスカントリースキーにライフル射撃を融合した競技、バイアスロン。ライフル銃を背負って滑走しながら、その途中で立射もしくは伏射で射撃し、タイムを競います。
日本国内では、銃刀法の関係から限られた人のみ行うことのできる競技で、一般の人たちにはあまり馴染みのない競技となっています。
射撃は50m離れた5つの標的を立射または伏射で撃ちます。これをまとめて1回の射撃とし、種目によって各選手が2~4回射撃を行います。
標的の直径は立射115ミリ、伏射45ミリ。種目としては、クロスカントリーの距離が違うものやリレーがあります。
最終順位はクロスカントリーのタイムと射撃の精度によって決定します。
⑥フリースタイルスキー
スキーで滑りながらジャンプや宙返りなどの空中演技を行う競技、フリースタイルスキー。
- コブが設けられた急斜面を滑り、ターン技術とエア技術、スピードを競う「モーグル」
- 競技用のジャンプ台からジャンプして着地するまでの間、空中演技を競う「エアリアル」
- 800〜1000m前後の斜面に連続的に設置されたジャンプ台やレール、ボックスなどのジブアイテムを使用し、トリックを組み合わせて演技を競う「スロープスタイル」
- パイプを半分にカットしたような構造物の上を左右に滑りながら空中演技を競う「ハーフパイプ」
- 複数の選手が旗門やカーブなどを設置したコースを滑走しタイムを競う「スキークロス」
とフリースタイルスキーにも、それぞれルールが異なる5つの種目があります。
◆◆種目別のルールを覚えて
いかがでしたでしょうか。
なんとなく知っていたスキー競技も、ルールを知ることで、より楽しく観戦することができるようになるのではないでしょうか。スキー競技はシンプルなルールの種目も多く、覚えやすいのも魅力のひとつ。銀世界を颯爽と滑る選手たちの華麗な演技、スピード感や躍動感、集中力を感じ、観戦するだけでも同じような爽快感を得ることができるでしょう。
そんな選手たちに少しでも近付いてみたいですね。
今年の冬はぜひ、スキーを楽しんでみてはいかがでしょうか。
前回:ウィンタースポーツの定番 スキーの魅力にせまる【歴史編】