2021年12月に実施された第8回SDGs認知度調査で「SDGsという言葉を聞いたことがある」と答えた人が76.3%に達し、過去最高を更新しました。
また、男女別、世代別それぞれで7割を超え、SDGsという言葉は急速に浸透しているようです。一方、残念なことにSDGsという言葉は知っていても、その内容については理解していない人がほとんどで、SDGsに関する取り組みについて考えていないという人が半数近くに達しました。SDGsは国や自治体だけではなく、民間企業やひとりひとりの役割が大きいといわれています。
今回は、SDGsが掲げる内容と日本や海外における取り組みも併せてご紹介します。
前回▶ミレニアム開発目標MDGsの後続になるひとりひとりの協力が不可欠な持続可能な開発目標SDGsとは?
01/5つのP
持続可能な開発のキーワードとして掲げられている「5つのP」についてご存じでしょうか。これはSDGsが掲げる17の目標を大きくわけたもの。SDGsをより理解するために知っておくべきことといえるでしょう。
一つ目は『People(人間)』
貧しさや飢えに苦しむ人の問題を解決し、健康で平等に暮らせる世界をつくる。
二つ目は『Prosperity(繁栄)』
十分な収入を得て、経済的に豊かで安心して暮らせる世界にする。
三つめは『Planet(地球)』
子供たちやさらにその次の世代のために、絶滅危機にある動植物、地球温暖化等の気候変動など多くの問題に関心を向け地球環境を守る。
四つ目は『Peace(平和)』
戦争、紛争、暴力、迫害などに苦しむことのないよう平和を知ることから実現しようという取り組み。
五つ目は『Partnership(パートナーシップ)』
国と国の協力はもちろん、大勢の人たちがパートナーシップを持ち協力し合う。
この5つのPを実現するためにあるのがSDGs17の目標というわけです。
02/17の目標と169のターゲット
SDGsで掲げられている17の目標を達成するための具体的な目標を示すのが169のターゲットです。このターゲットをひとつひとつクリアしていくことで、17の目標の達成に繋がるのです。169のターゲットには232の指標が設けられており、どれくらい達成することができているのか、わかりやすく見ることができる仕組みになっています。
さて、SDGsですが17の目標はすべてわかりやすいアイコンで掲げられています。SDGsが採択された際には、国連の壁にプロジェクションマッピングでカラフルに映し出されました。それでは、順番に17の目標をみていきましょう。
「あらゆる場所であらゆる形態の貧困に終止符を打つ」
「飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する」
「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」
「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」
「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」
「すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」
「すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」
「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する」
「強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る」
「国内および国家間の格差を是正する」
「都市と人間の居住地を包摂的で安全かつ強靭で持続可能にする」
「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」
「気候変動とその影響に立ち向かうため緊急対策をとる」
「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」
「陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る」
「持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する」
「持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」
以上が17の目標です。
1~6の目標は、貧困や飢餓、健康、教育、安全な水などについて掲げられています。
実は、日本の子供の7人に1人が相対的貧困といわれ、一般的な水準より低い状況で暮らしています。また、ジェンダー平等に関しては、3月31日に世界フォーラムで発表された数字によると153ヵ国のうち120位と大変低い結果となっています。これらの目標は先進国である日本でも当てはまる事だといえるでしょう。
7~12の目標はエネルギーや働きがい、経済成長、街づくりについて掲げられています。これらはまさに、先進国である日本も密接に関係しています。13~17の目標は気候変動や海陸について掲げられています。
開発途上国や先進国だけの話ではなく、包括的な目標と言えます。それでは具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか。
03/日本や海外におけるSDGsの取り組み
SDGsの達成度が高いスウェーデンでは家庭などからでた廃棄物を処理するラグンセルスという企業が、断熱材のリサイクルに力を入れています。気候の厳しいスウェーデンならではの「つかう責任 つくる責任」に沿った行動です。
デンマークでは「UN17 Village」という17の目標をすべて達成できるようなビレッジを建設するプロジェクトを立ち上げています。新しい持続可能なライフスタイルを目指すことができるビレッジの完成は2023年頃を予定しているそうです。
それでは、日本ではどのような取り組みが行われているでしょうか。
身近な例といえば、レジ袋の有料化です。SDGsの14番目の目標「海の豊かさを守る」からプラスチックごみの削減に力を入れた取り組みといえるでしょう。
また「ネットで譲り合い ジモティー」のCMでおなじみのジモティーは、地元の掲示板をオンライン化させたサービスであり、ひとり親支援のキャンペーンを行っています。他にも、日清食品グループはお湯があれば食べることができるインスタントラーメンを、自然災害が発生した際に被災地に提供する取り組みを行っているそうです。
◆◆誰一人取り残さない社会の実現に向けて
いかがでしたでしょうか。
近年も世界中で様々な問題が起こり、SDGsの理想とする世界とはかけ離れた暮らしが続いている場所も多くあります。目標実現にはきっと長い時間が強いられることでしょう。しかし、企業や個人が小さな活動を継続することによって、未来はいい方向へと少しずつ変わっていくはずです。
目標達成のために今からでも歩み始めてみませんか?その小さな協力が何よりもの近道なのです。
前回▶ミレニアム開発目標MDGsの後続になるひとりひとりの協力が不可欠な持続可能な開発目標SDGsとは?
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