「エリート」という言葉は、社会や集団の中で高い能力や実績を持つ人を指しますが、その定義は国や文化によって異なります。特に、日本と海外では「エリート」に対する認識に大きな差があります。
今回は、海外エリート教育の代表的な国でもあるシンガポールの教育制度や費用について見ていきましょう。
教育の特徴
教育に力を入れている国で有名なシンガポール。
個々の能力や適性によってさまざまな選択ができるよう環境が整えられており、学校の種類も多いため、非常に複雑な教育システムとなっています。また、幼少期の学習をかなり重視しており、幼稚園や保育園で英語やそろばん、プログラミングなどの授業が行われるほど。常に世界でトップレベルの学力で、競争も厳しく、子供たちは塾に通うなど多忙な毎日を過ごしているようです。
基本は初等教育6年、中等教育4〜5年、高等教育が2~3年で、進むコースなどによって修了年限が異なります。義務教育は6歳〜12歳までの6年間で、9年間の日本に比べると短いですね。
初等教育終了時に「PSLE」という卒業試験が行われ、その成績によって4年制コースの「エクスプレス」、5年制コースの「ノーマルアカデミック」、5年技術コース「ノーマルテクニカル」と進学する中学校が決まります。この試験に合格できない約2%の生徒は進学できません。
成績の良い生徒は勉強に特化している中学校へ進学し、良い高等学校と大学進学を見据えます。反対に成績があまり良くない生徒は技術を身につける道に進むということのようです。これだけ聞くと、小学校卒業の時点で将来が決められてしまうように思えますが、成績によっては別のコースへの編入も可能であり、努力次第で将来はいくらでも変えられるというわけです。
また、シンガポールでは国の政策としてニ言語教育政策がとられています。基本的に英語を公用語として授業が行われ、それ以外にマレー系ならマレー語、中華系なら中国語といった母国語を学び、早いところでは、幼稚園や保育園でもバイリンガル教育が始まるそうです。
シンガポールの学力の高さ
シンガポールの学校とその費用
日本人がシンガポールの私立学校に通う場合、日本人学校とインターナショナルスクールの2種類ありますが、ここでも永住権保持者と帯同保持者では学費に大きな差が出ます。シンガポールの日本人学校に小学校から高校まで通う学費と、日本の一般的な私立学校に通う学費はだいたい同じくらいです。しかしインターナショナルスクールとなると、日本で小学校から高校まで通う学費よりも1000万円ほど高くなります。
シンガポールの国立大学は、アジア地域ナンバーワンと高く評価されているレベルの高い大学が集まっています。現地の学生でも国立大学に進学できるのはトップ20%ほど。学歴社会のシンガポールでは、その国立大学を卒業し、大企業への就職や医者や弁護士になるということを目標にしている人も多いようです。
いかがでしたか。
シンガポールは、国家予算の約16%を教育に投じているうえ、各家庭でも子供への教育投資を惜しまない文化が浸透しています。その結果が学力にも表れているようです。ちなみに日本が教育に投じている国家予算は約3.3%。シンガポールと比べるとかなり低いように思います。学校における働き方改革を加速させ、教育の質の向上を図るためには今後どのような動きになっていくのか注目していきたいところです。
また、日系企業から外資系企業まで多くの企業がシンガポールに進出しています。もともと多民族国家のため、外国人を雇うことにも抵抗が少ないようです。スキルがあれば、留学後にそのまま現地で就職できる可能性が高く、インターンを受け入れている企業も多くあるようなので、シンガポールで働いてみてもいいかもしれませんね。
今後もシンガポールの教育に目が離せません。
Text by yumeka