古来、人間は天への憧れを抱き続けてきた。神や天使は空に座(おわ)すと考えられてきたし、飢饉に晒されれば願いを乞うて雨を求めた。
ライト兄弟は空への自由と夢を求めて飛んだし、人類は——これは世界共通で、夜空の星々や月を眺めるたびにここにはいない誰かに想いを馳せてきた。
つまるところ、人間の“天空”への想いは、尽きないのだ。
このレストランから見渡せる景色を眺めていると、そんなことをぼんやりと思う。しかしここで出合う一皿一皿が、目の前へと、意識を呼び戻してくれる。
現実と、天空と。目で、舌で、香りで感じられる料理人の矜恃が、かけがえのないひとときを過ごさせてくれる。
カジュアルさとスタイリッシュさを兼ね備えたレストラン
ジェイアール名古屋タカシマヤ。専用エレベーターを乗り継いで51Fに上がり、右手へ進むと『ワインラウンジ&レストラン セパージュ』が見えてくる。
重厚感のある扉を開けると、ほとんどの席が窓際に配置されており、見渡す限りの開放的な光景に思わず言葉を失う。
“天空のレストラン”。同店がそう称される所以だ。
澄み切った青空に、心の奥底から洗われる気がする。
見ているだけで体の中の空気がスカイブルーの色に入れ替わっていくようだ。忙しい身だからこそ、誰にも気兼ねなく羽を伸ばせる同店のような場所は大切にしたい。
夜は夜で、言わずもがな夜景が美しい。ちらちらと都会を彩るイルミネーションの瞬きを見つめていれば、この夜が終わりなくいつまでも続いていくような心地になる。
ムードとスタイリッシュさがありながらその実、カジュアルでもあるのが同店の魅力。
特にランチタイムは、こちらが心配になってしまうほどリーズナブルな価格でコース料理をいただける。
それをお目当てに訪れる、子どもを連れた女性客や若いカップルなどで賑わう活気ある雰囲気も、なかなかに好きだ。
「欧風料理を、いろいろな人にもっと親しみやすく感じてほしいと思いました」。
そう話すのは、同店のエグゼクティブシェフ・根井隆行氏だ。
大阪の外資ホテルで研鑽を積み、その後渡仏。帰国後は、20代のほとんどをフレンチだけでなく洋食全般に幅広く携わって過ごした。その合間を縫って、フランスやイタリアなどの各国に赴き、現地の料理を学んだ。
同店の料理長を任されて5年目。従来の、敷居の高かった“フレンチ”というジャンルから脱却し、店のコンセプトを一新させたその人だ。
「もちろん、ベースはフレンチです。しかし、海外でさまざまな欧風料理を見て学ぶたび、ヨーロッパの魅力が詰まった“いいとこどり”な料理を、多くの人にカジュアルに楽しんでほしいと考えるようになりました」
と根井氏は言う。
幅広い層の客を受け入れるレストランの姿を、今日出合う一皿でじっくり堪能するとしよう。
<後編へ続く>
Next:5月26日更新予定
“欧風料理”の花を咲かせて。ワインラウンジ&レストラン セパージュ<後編>
店舗情報
店名 | Wine Lounge & Restaurant Cépages ワインラウンジ&レストラン セパージュ |
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住所 | 愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4 JRセントラルタワーズ51階 パノラマサロン内 |
お問い合わせ | 052-587-7820 |
営業時間 |
ランチ 11:00〜15:00(L.O13:30)
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定休日 | 無休(JR名古屋高島屋の店休日に準ずる) |
HP |
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