「恩人」の名前を冠したイタリアンレストランがある。
昭和区八事の閑静な住宅街の中、ひっそりと奥まった階段を下ると「ラ・リリアーナ」の入り口が見えてくる。
重厚な扉を開け、アーティスティックな空間に身を委ねれば、忘れられないひとときがはじまる。
アートなカンバスに切り取られた、ゆるやかな時間
美しく整えられたテーブルメイク。
バーガンディのチェアが柔らかなライトに照らされ、深みのある色合いを醸し出している。
それはまるで絵画のようで――と形容するのは些か稚拙な気もするが――ずっと見ていたくなる、身を置いていたくなる。
そんな気持ちにさせてくれる店内だ。
名古屋では歴史のあるイタリアンレストラン。2022年1月で20周年を迎えるという。
この店の味を決めるのは、オーナーシェフの國田健氏。
世間が「イタメシ」ブームを迎える少し前からイタリアンの道を志し、大阪や東京をはじめとした名店の他、イタリア国内の6地方で修業。
名古屋に戻り、同店をオープン。名古屋のイタリアンでは言わずと知れた名店だ。
同氏が大切にしているのは、“季節感”と“食材の使い方”。日本になじみのある食材を使いながら、本場のイタリアの味を出す。
その逆もしかりで、イタリアから取り寄せる食材を日本人の舌に合うように調理する。盛り付けで、味わいで、季節を感じられるように。
目の前の一皿を見ながら、「もうこんな時期なんだね」と客同士の会話が弾むように。
國田シェフはこの空間で過ごすひととき、つまり食事の時間にこそ、重きを置いている。
本日のスペシャリテをいただきながら、シェフの「あの話」を思いだすとしよう。
<店舗情報>
ラ・リリアーナ
名古屋市昭和区滝川町47-24 光洋マテリカビル1F
052-837-0611
11:30~14:30(L.O.12:30)、18:00~22:00(L.O.20:00)
水曜休
Pあり
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
<後編へ続く>
後編:1月27日更新予定