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国際結婚のすべてを6回で徹底解説!

国際結婚のすべてを6回で徹底解説!

近年ますます注目を集めている結婚形態の国際結婚。しかし、国際結婚には独特のルールや手続きがあり、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。この連載では、国際結婚について6回にわたって詳しく解説していきます。第1回目は国際結婚とは何か、歴史や動向についてご紹介します。



国際結婚とは

「国際結婚」とは文字通り、国籍が違う者同士が結婚することで、外国籍の配偶者を持つことを意味します。明治6年(1873年)314日は明治政府によって国際結婚を認める布告がされた日であるため、現在も314日が国際結婚の日として定められています。国際結婚が認められてから約150年もの月日が経過しているということに驚く方も多いのではないでしょうか。

国際結婚をすると苗字や国籍はどうなるの?

日本では婚姻届けを提出し受理されると、夫婦として新しい戸籍が作成されます。その際にどちらかの姓を名乗る選択をするのが一般的な流れとして知られていますが、国際結婚の場合はどうなのでしょうか。

基本的に、日本で結婚する限り戸籍を失うことはありません。日本人は日本国籍、外国人は出身国の国籍を保持した状態というわけです。しかし、国によっては例外もあるようです。フランスは、結婚後一定期間以内にその国の国籍を望めば国籍を変更することができますが、原則として日本国籍から離脱しなくてはなりません。また、イランやアフガニスタン、サウジアラビアなどのイスラム教国では、その国の男性と結婚した女性に、その国の国籍が付与されます。しかし、セネガルやルワンダ、ドミニカ共和国、コートジボワールなどの国は、結婚によって自動的に与えられる国籍を拒否することができる権利があるようです。

それでは、苗字はどうなるでしょうか。冒頭でも述べた通り、日本人同士の場合は夫婦同姓になりますが、国際結婚の場合は夫婦別姓となります。しかし、苗字を相手の姓に合わせたいという場合は、市区町村役場などで変更の手続きをすれば可能となっています。日本人が外国姓に変更する際は、婚姻から6カ月以内に近くの市区町村へ届を出さなくてはなりません。この6カ月以内という期限内に届を提出しなかった場合は、家庭裁判所に苗字変更の許可をもらう必要が出てきます。何か特別な理由がない限り、忘れることがないよう婚姻届提出の際に一緒に提出することをおすすめします。また、日本姓と外国姓を組み合わせたダブルネームにする場合は、姓と名を同時に変更すると言った手続きが必要になります。


国際結婚をした夫婦の子供の国籍は?

人の国籍を決める方法は「生地主義」と「血統主義」の2つがあります。生地主義は、出生した国の国籍が与えられるもの。血統主義は、親と同じ国籍が子供に与えられることをいいます。また、血統主義には、父親の国籍か母親の国籍、どちらかを選択することができる「父母両系血統主義」と、父親の国籍が優先される「父系優先血統主義」に分けられます。日本は「血統主義・父母両系血統主義」を採用しています。日本の他にも、中国、韓国、タイ、フィリピン、スウェーデン、ノルウェー、トルコなどの国々がこの血統主義・父母両系血統主義」を採用しているようです。一方、「血統主義・父系優先血統主義」を採用している国も多くあります。例えば、モロッコやセネガル、インドネシア、エジプト、サウジアラビアなどが挙げられます。対して、アメリカやカナダ、ブラジル、アルゼンチン、ニュージーランドなどの国々は「生地主義」を採用しています。また、イギリスやオーストラリア、フランス、ドイツなどの国々では、条件を付けて生地主義と、血統主義を併用しているようです。

 

日本における国際結婚の動向

今から約150年前に、国際結婚が認められた日本。しかし最初は、日本が島国であるというような理由からなかなか国際結婚の件数は増えなかったそうです。ここでは過去50年間の国際結婚の動向について、厚生労働省が発表している人口動態調査を参考にみていきましょう。

夫妻の一方が外国人である婚姻件数の年次推移 -昭和 40~平成 27 年-

出典:厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/konin16/dl/01.pdf

 

国際結婚数は、昭和55年かごろから一気に増加傾向に。それまで年間1万件以下だった件数が、平成2年ごろになると2万件を超えるようになりました。しかし、平成12年以降になると、年によって数値が大きく乱高下します。この不自然なほどの乱降下の背景にはどんな理由があるのでしょうか。

データを見てみると「妻日本―夫外国」の国際結婚は比較的なだらかに変化していますが、「夫日本―妻外国」の国際結婚は値の変化が大きいことがわかります。つまり、乱高下の原因は後者「夫日本―妻外国」にあると考えられるでしょう。実は、特に乱降下が激しい平成12年から17年ごろ、人身取引対策が強化されました。平成12年に「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書」といったものが国連総会で採択されています。このことから、人身取引の規制が国際的にも強くなったことがわかります。また、日本では平成17年に人身売買罪の創設等を内容とする刑法の一部改正案が施行されています。こうした規制の中で、貧困国から結婚仲介業者を介して、日本などの異国の男性の元へ嫁ぐ女性たちが問題視されるようになりました。彼女たちの多くは、家族を救うため、自身の生活を変えるために嫁いできます。場合によっては家族に売られてしまうことも。(結婚仲介業者を介する結婚は、男性側が仲介業者に花嫁資金として手数料を支払い、成立する)このように、結婚仲介業者を介してアジアの貧困地域から日本の男性の元へ嫁いでくる女性たちの事をメディアは「アジアの花嫁」と取り上げました。ここ数年、数値の乱降下が落ち着いてきているのは、営利的な結婚が各国で問題視されるようになったからでしょう。

 

誰もが心から一緒にいたいと思える相手と結婚できますように

今回は、国際結婚の基本的なことについてご紹介しました。

昔に比べると、インターネットなどのモバイル端末が普及し、世界中の人と簡単につながることができる時代。結婚という人生の大イベントが人身取引のような悲しい出来事になることがないよう、規制について慎重に考え続けていかなくてはならないということを感じていただけたのではないでしょうか。

国籍にかかわらず、心から一緒にいたいと思える相手と人生を共にしたいですね。

 

次回は、「手続き編」。日本で最初に国際結婚をしたご夫婦のことも併せてご紹介します。お楽しみに。




Text by yumeka