私たちは日々慌ただしさに囲まれて生活しています。時折、自然に触れて癒されたいと思う方も多いことでしょう。
そんな私たちの願いを叶えてくれる場所、滋賀県南西部に位置する「大津市」。
びわ湖に接する大津市には、自然が満喫できる場所や魅力的な観光地が数多く点在しています。波乱に満ちた一生がドラマ化された紫式部にゆかりの深い寺院をはじめ、長い歴史を誇る寺院も多く、歴史ファンの間では隠れた人気スポットとして親しまれているそうです。
今回は、「大津市」の【観光】【グルメ】【宿泊】【お土産】をご紹介します。
これを読めばきっと、魅力溢れる大津市に訪れてみたくなるでしょう。
✎ 大津市の紹介 滋賀県南西部に位置する人口約34.26万人の「大津市」は、日本最大の面積と貯水量を誇るびわ湖や、世界遺産をはじめ、歴史的建造物が今に残っています。 また、アニメ「ワンピース」のオープニング主題歌として話題になった「最高到達点」のミュージックビデオが、びわ湖観光船ミシガンで撮影されたことや、2024年の大河ドラマ「光る君へ」をはじめ、「るろうに剣心」「ちはやふる」など、話題になったエンタメ作品のロケ地としても選ばれています。 |
【観光】
世界的観光都市「京都」から、近い場所に位置する大津市は、自然と歴史の宝庫といわれています。ここでは紫式部ゆかりの「石山寺」や「三井寺」など歴史ある寺院を中心に、大津の魅力をたっぷりと味わうことができる観光スポットをご紹介します。
石山寺
“花の寺”として有名な石山寺は、奈良時代747年、聖武天皇の勅願により良弁僧正が建てられた寺院として伝えられ、古くから神聖な場所とされてきました。その名の通り、石の山の上に建つこの寺院の境内には、世界的にも珍しい天然記念物「硅(けい)灰(かい)石(せき)」がそびえ立っています。寺院の本堂や多宝塔はこの「硅灰石」の上に建てられているのです。
そんな石山寺は、古来多くの女流文学者や歌人が訪れていることから「文学の寺」とも呼ばれています。特に平安時代になると、「石山詣」と呼ばれる石山寺への参拝が流行し、当時の貴族たちの憧れとなりました。
国宝の本堂は滋賀県で最も古い木造建造物。ここには、日本で唯一の勅封を受けたご本尊である如意輪観音菩薩が祀られています。
本堂の東側にある二間続きの部屋には、紫式部が「源氏物語」を書き始めたとされる部屋が残されており、授与所には、紫式部の和歌が入った「紫式部開運おみくじ」をはじめとするおみくじや、かわいらしい授与品が並んでいます。
石山寺境内の明王院では、紫式部が主人公のNHKで放送している大河ドラマ「光る君へ」を紹介する「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」が開催され、ここでしか見られない映像や企画パネル、ドラマに登場する衣装などが展示されています。
光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館 (主催:大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会)https://otsu-murasakishikibu.jp/
同時に、境内世尊院にて、平安時代の「恋」をイラストや音楽などで体感できる企画展「恋するもののあはれ展」も開催しています。
源氏物語 恋するもののあはれ展 https://otsu-murasakishikibu.jp/
また、拾翠園に新たにオープンした「石山寺物産館 紫-MURASAKI-」では、紫式部を連想させる雅な商品や、源氏物語に関連したお土産など、大津ならではの特産品が多数販売されています。
石山寺にはその他、鎌倉時代に寄進され淀殿によって大改修された東大門や、松尾芭蕉ゆかりの茶室、そして「近江八景石山の秋月」で描かれた月見亭、くぐった人の願いを叶えてくれるというくぐり石など、見どころが盛りだくさん。平安時代の貴族になった気分で、いにしえの時を感じながら石山寺を散策してみてはいかがでしょうか。
西国三十三所観音霊場第十三番札所 大本山石山寺 https://www.ishiyamadera.or.jp/
✎ 紫式部 大河ドラマ「光る君へ」(NHK)の主人公として話題の紫式部は、実際の名前や正確な生没年はわかっていません。宮中での女房名が藤式部(ふじ しきぶ)だったため、後に「紫式部」と呼ばれるようになったといわれています。そんな紫式部は、藤原為時の娘であり、藤原北家の名門出身です。当時としては晩婚の20代後半に藤原宣孝と結婚しますが、約3年の結婚生活で死別。明るい性格だった紫式部も夫の死を経験し、内向的な性格に変わってしまったといわれています。この時期から彼女は「源氏物語」の執筆を始めたようです。「源氏物語」はフィクションでありながらリアリティある作品として世界中から注目され、時代を超えて多くの読者の心を掴み続けています。 |
「石山テラス」
石山寺の門前にあるスイーツが堪能できる4店舗の総合施設。
1階にはプリン専門店「石山寺プリン本舗」、焼き立て食パン工房「ツキノベーカリー」、お芋スイーツ専門店「芋屋十三」があり、各店で厳選した食材を使った手作りのスイーツが楽しめます。2階「ISHIYAMADERA cafe」では、1階のショップとコラボしたオリジナルメニューも堪能できるようです。
門前茶屋、門前菓子という言葉があるように、参拝後の美味しいご褒美として、「石山テラス」は旅行者や地元の人たちから愛され、大津の魅力を発信する場所となっています。
石山テラス https://www.ishiyama-terrace.com/
三井寺
正式名称は「長等山園城寺(ながらさんおんじょうじ)」天台寺門宗の総本山。三井寺(みいでら)と呼ばれるようになったのは、飛鳥時代から湧き続ける清らかな水が、かつて3人の天皇の産湯に使われたことに由来します。
びわ湖南西の長等山中腹に広大な敷地を有し、1200年以上もの長い間、びわ湖を見守り続けてきた三井寺。その歴史の中で、源平の戦いや南北朝の内乱などよる焼き討ち等、幾多の試練に遭遇してきました。ですがその度に復興し、その様子から「不死鳥の寺」とも称されています。
檜皮葺の屋根が印象的な本堂の金堂にはご本尊・弥勒菩薩がお祀りされていますが、このご本尊は永久秘仏となっています。金堂のすぐそばには、近江八景「三井の晩鐘」があり、実際に鐘をつくことができます。響き渡る音色は、胸に染みる美しさ。
鐘の音で心が洗われた後は、この鐘をモチーフにした「鐘みくじ」を引くのもおすすめです。水に浸して占うおみくじなので、三井寺の澄んだ水に運勢を託してみましょう。
また、三井寺では、「腕輪念珠づくり」「写経・写仏」「座禅」「山伏」の4つの体験コースが用意されており、個人からグループまで、初めての方でも楽しめる構成になっています。
特に、「腕輪念珠づくり」は参拝の思い出にぴったり。仏教の世界では、念珠は仏様と心を通い合わせる大切な法具。所持しているだけで厄災から身を守り、心の安らぎを得ることができるといわれています。できあがった腕輪念珠を見れば、たちまち思い出に浸ることができるでしょう。
三井寺も、紫式部にとってゆかりのあるお寺です。
紫式部の父・藤原為時をはじめ、兄弟、親戚が三井寺の僧侶になっていると伝えられています。
現在、金堂ではNHKの大河ドラマ「光る君へ」の放送記念で、紫式部ゆかりの史品を展示する「紫式部と三井寺」が開催され、展示品の一つである「寺門伝法灌頂血脈」には、紫式部の母親の兄弟、紫式部の異母兄弟の名前が記されています。
※通常はこの時間は閉館しているため、今回は特別提供です。
天台寺門宗 総本山三井寺 http://www.shiga-miidera.or.jp/
大津市歴史博物館
2025年2月2日まで、紫式部の人となりや源氏物語を起筆した所以など、紫式部を紐解く特別展示「源氏物語と大津」が開催中。
大津市歴史博物館 https://rekihaku.otsu.shiga.jp/news/2310.html
「びわ湖テラス」
標高1100mに位置し、雄大なびわ湖を眼下に、特別なひとときを過ごすことができる眺望豊かなスポットです。「グリルダイニング&バーHALUKA」では、ステーキやハンバーグなどのグリル料理を、「テラスカフェ」では、ウッディなインテリアの中でゆったりとお食事を楽しむことができます。
びわ湖テラス https://biwako-valley.com/tips/biwako_terrace/index.html
【グルメ】
旅行の楽しみのひとつといえばグルメではないでしょうか。ご当地グルメはもちろん、地元に愛されるお店はチェックしておきたいですよね。おいしいグルメを食べれば、旅行の満足度も上がります。
ここでは、日本で最も歴史あるブランド和牛・近江牛や、びわ湖産うなぎなどの有名なグルメから、抜群の景色を楽しむことができるカフェをご紹介します。
近江牛専門店 れすとらん松喜屋本店
「お祝い事は松喜屋さんで」といわれているほど地域で愛されているお店、近江牛専門店 れすとらん松喜屋本店。近江牛だけでなく、シェフ自らが吟味したその時々の旬の野菜を使用するなど、全ての食材においておいしさに対するこだわりがたっぷりと詰まっています。
2024年11月30日まで、NHKの大河ドラマ「光る君へ」の放送に合わせて特別メニュー「紫式部近江牛御膳」を提供中。十二単になぞらえ、前菜のサラダは12種類で構成し盛りつけられているので、時代背景を連想しながら楽しめます。
メイン料理はシェフが目の前で焼いてくれる近江牛のステーキ。一口ほおばると口の中に幸福感が満ちてきます。ステーキには3種類のたれが用意されていますが、その中で肉本来の旨味を最大限に引き出す泡塩がおすすめです。
京阪電車 唐橋前駅より徒歩1分でアクセス抜群。
近江牛専門店 れすとらん松喜屋本店 https://www.matsukiya.net/restaurant/honten.html
R cafe at Maria
近江牛を使ったランチメニューから、ケーキやアイスなどのデザートまで豊富なラインナップ。また、びわ湖をイメージしたというドリンクメニュー「ビワコスカイ」はインスタ映え間違いなし!
R café at Maria http://rcafe-marina.com/
✎ うなぎ料理 びわ湖産のうなぎは、肉厚で歯ごたえがよく、深い味わいが特徴だといわれています。大きな天然うなぎが獲れることで有名なびわ湖では、うなぎの呼び方も独特。大物うなぎは「太もん」、1キロ以上のうなぎは「木(ぼく)」、太いうなぎは「松川(まつかわ)」だそう。 ここでは、バリエーション豊富なうなぎ料理を楽しむことができる大津のうなぎ店をいくつかご紹介します。
・逢坂山 かねよ 明治5年創業より伝統の味を守り続け、手間暇惜しまず焼き上げた香ばしいかば焼きを頂くことができます。優雅な庭園を臨むお座敷で食べるうなぎはまさに絶品。(https://kaneyo.in/) ・おゝ杉 「うなぎのしゃぶしゃぶ」の名店。予約が取りにくいといわれるほど、全国各地からお客さんが集まる人気店です。骨切りしたうなぎを昆布だしの土鍋に入れ、自家製の熟成ポン酢でいただきます。 ・くし屋敷 ふぐ料理、はも料理、うなぎ料理が自慢のお店です。その他、近江牛や近江野菜、近江米など、地消・産地にこだわった料理をいただくこともできます。お手軽なランチメニューにも注目です。(https://kushiyashiki-otsu.com/) |
【宿泊】
滋賀県といえばやっぱり「びわ湖」。心を包み込む美しく雄大な景色は、とびきりの癒しを与えてくれます。びわ湖を見ながら入ることのできる温泉や、高級感あるリゾートホテルでレイクビューを堪能するなど、普段味わうことのできない素敵な体験ができる宿泊施設をご紹介します。
「びわ湖大津プリンスホテル」
びわ湖畔にたたずむ高層38階建てのリゾートホテル。529室の客室は全てレイクビューとなっており、四季折々のびわ湖の絶景を一望することができます。
34階には、ホテルに1室しかない、びわ湖を180度見渡すことができる広さ約100㎡のロイヤルスイートルームが。また、エントランスロビーは人々が集い行き交うびわ湖畔の港をイメージするなど、びわ湖大津ならではのこだわりが感じられます。
ホテルでゆったりとお食事を楽しみたい方は、37階にあるビュッフェスタイルのレストラン「レイクビューダイニングビオナ」がおすすめ。豊かな自然をテーマに、地元食材を取り入れた和洋中のさまざまなお料理を楽しむことができます。お部屋でゆっくりとくつろぎたい方には、ホテル内にあるレストランのテイクアウトメニューを予約するとよいかもしれません。
(※テイクアウト商品は当日19時までにご予約ください。詳細はHPをご確認ください)
京都・滋賀の観光拠点としても最適なびわ湖大津プリンスホテル。敷地内には500台収容可能な駐車場も完備されているので、車で訪れる方にもおすすめです。
びわ湖大津プリンスホテル https://www.princehotels.co.jp/otsu/
おごと温泉 びわこ緑水亭
おごと温泉は、1200年の昔、比叡山の伝教大師(最澄)によって開湯された歴史ある温泉です。pH値9.0という高いアルカリ性の単純温泉で、「美肌の湯」といわれています。
中でもここ「おごと温泉 びわこ緑水亭」は、全室露天風呂付きの湖畔のリゾート旅館。自慢の温泉は一切足し湯をしておらず、男女とも大浴場、露天風呂、北欧産木材を使用したバレルサウナが完備され、疲れた心と体をほぐしてくれます。
客室は2022年新たに、露天風呂付ベランピング※特別客室「湖游エレガントスイート」「湖游プレミアスイート」がオープン。「湖游エレガントスイート」は、54㎡の和洋室。
地元で花を咲かせる日本古来の植物紫草を使用したオーガニックコスメや、バルミューダのBluetoothスピーカーとコーヒーマシンが備えられています。ベッドは、世界のベッドとして愛されているブランド・シモンズを採用。まるで映画のワンシーンのような時間を過ごすことができるお部屋です。「湖游プレミアスイート」は、72㎡の広々とした和洋室。
エレガントスイートの設備に加え、100インチの大スクリーンを完備。プロジェクターから映し出される大迫力の画面が満喫できます。
また、びわ湖の自然を堪能できる中庭の手湯・足湯や、その中庭を眺めながら朝食が頂けるダイニングレストラン、ラウンジ、テラス、エステサロンなど、充実した施設も魅力のひとつとなっています。
(※ベランピング:ベランダとグランピングを合わせた造語。ベランダで楽しむキャンプのこと)
おごと温泉 びわこ緑水亭 https://ryokusuitei.com/
✎ 他におすすめの宿泊施設 琵琶湖ホテル 客室からびわ湖のレイクビューを楽しむことができるリゾートホテル。施設内の天然温泉は、さらっとしたくせのない湯触り。地元の食材を使用したお料理も魅力的です。壮大なびわ湖に溶け込むようなひとときを過ごせそう。(https://www.keihanhotels-resorts.co.jp/biwakohotel/)
近江の里山から雄大なびわ湖を臨む露天風呂付客室が人気の宿。男湯は「弁慶の引摺り鐘」女湯は「天女の舞」と近江昔話をモチーフにしています。露天風呂に浸かりながら見る景色は絶景です。(https://yuzanso.co.jp/) |
【お土産】
家族へ、会社へ、友人へ…旅行で欠かせないものといえば、お土産ではないでしょうか。そんなお土産選びは楽しい反面「何が喜ばれる?」「賞味期限は?」と頭を悩ませる人も多いはず。ここでは、おすすめのお土産をご紹介します。
中川誠盛堂茶舗
1858年創業以来、積み重ねた技と心で多くのお茶マニアに愛され続けている中川誠盛堂茶舗。東海道五十三次の53番目の宿場町に位置し、当時は大名行列が行き交う場所だったそうです。往来した旅人にお茶を売ったのがお店の始まりだといわれています。
店内には、悠久の時を経て甦った日本最古の銘茶「日吉茶園」や、国内のみならず、世界中から注文が寄せられる「赤ちゃん番茶」、そして海外からも高い評価を受けている和紅茶「べにふうき紅茶」など、様々な茶葉がずらりと並んでいます。
こちらで手に入れた日本茶を共に、大切な人と贅沢なひとときを過ごすのも趣がありますね。
JR大津駅から徒歩約5分とアクセス便利。
中川誠盛堂茶舗 https://www.seiseido.com/
「神保真珠商店」
貝を育てるのに3年、その後、真珠を巻くまでにさらに3年という時間を要す「びわ湖真珠」が並ぶお店です。ひとつひとつ違った表情を持つびわ湖真珠は、全てが一点もの。季節や日により、店内に並ぶ商品も変わるそうです。自分へのプレゼントとして、その時出会った個性ある真珠を旅の思い出に購入してみるのもいいかもしれませんね。
神保真珠商店 http://jinbo-pearls.jp/
大津駅観光案内所OTSURY
大津駅観光案内所OTSURY https://www.otsu-guide.jp/
♦♦♦
いかがでしたでしょうか。
紫式部にゆかりのある寺院、近江牛やびわ湖産うなぎなどの名物グルメ、とびきりの癒しを与えてくれる宿泊施設、お茶や真珠などのお土産…。自然と歴史の宝庫である大津市を盛りだくさんにご紹介しました。大津市は、JR京都駅からJR大津駅まで電車でたったの10分というアクセスの良さも魅力です。
古都の風情と癒しの調和が感じられる大津市で、心ときほぐされる贅沢なひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。