悔しいが、今の愛沙の条件だけだと、この先成婚することは難しいかも知れない。
「わかりました。条件を少し変えてみます。でも、年収1500万円以上は譲れません」
「では、お相手の年齢をもう少し上げてみましょう」
早速検索をお願いしたかったが、その日は閉店の時間になってしまったので、自宅でゆっくり吟味することにした。
林からの助言もありアプリはモチベーションが下がるからと退会した。
これからは結婚相談所一本に絞ることにする。
―本当にこんなことで結婚できるのかしら。
半信半疑になりながら、愛沙は試しに携帯で検索をかけてみることにした。
―清水昇太。(しみず しょうた)
数人いた相手の中からマシだと思う人をピックアップし、プロフィールを見る。
全体的に丸みを帯びた、童顔の可愛らしい顔をしていた。
身長170センチ、体重68キロ、41歳。
年齢は少々上だが、許容範囲だ。
飲食店のオーナーシェフをしているようだ。
―うーん、正直顔はタイプじゃないけど…、お金持ってそうだし、一番言うこと聞いてくれそう。
愛沙は今度こそは、と清水にお見合いの申し込みをした。
「ただいま」
浮き足立った気持ちでリビングに入ると、珍しい顔が目に飛び込んできた。
「あれ、真奈美帰ってきてたんだ」
リビングで父、母と話し込んでいる様子の真奈美を見つけて驚く。
「おかえり」
「友則さんと悠斗も一緒?」
8歳になった甥の悠斗と、夫の友則が見当たらない。
「悠斗は2階で寝てるよ。旦那は置いてきちゃった」
いつもの柔らかい笑顔はどこへやら、力なく笑う。
なにかあったのだろうか。
「…ちょっと、わたし疲れちゃったから、先に眠らせてもらうね」
真奈美が出て行ったあと、ただならぬ様子に愛沙は両親に恐る恐る尋ねる。
「…どうしたの?」