NOVEL

2番目の女 vol.3 〜既読にならない週末〜

「そんな辛い恋なんて辞めれば良いじゃん」

人の恋愛だったらいくらでも口出しできるのに、自分の恋愛となると何も動けない。

信じられないくらい、盲目になってしまう。

辛い。苦しい。悲しい。

負の感情が9割を占めていても、1割だけでも幸せがあれば、それだけで満足してしまうのが恋の不思議。

そして気づいたときには、取り返しがつかなくなってしまうこともあるのだ。

 


 

前回:2番目の女 vol.2 〜既読にならない週末〜

 

 

翔太と再会してから、頭の中は恋愛で埋め尽くされるようになった。

これまで仕事で占めていた部分が、どんどん恋愛に侵食されていくような感じ。

常に翔太からの連絡がないか、携帯を確認するようになってしまった。

 

「今日会える?」

 

翔太から連絡が来るのは、決まって水曜日の18時過ぎ。

水曜日は、奥さんはパートで帰りが遅いらしい。

それに子供の世話は奥さんのお母さんが手伝ってくれるため、翔太は早く帰らなくても問題がない。

義母と同じ空間にいなければならない水曜日は、あまり家に帰りたくないと言っていた。

 

私が呼び出されるのは、ただの暇つぶし。

そんなのわかっているのに、いつも私は翔太の誘いを断れなかった。

 

 

しかし、私の仕事は定時で終わらないことが多い。

忙しいときには、終電近くになることもある。

一方翔太は、基本的には定時上がり。だから時間が合わないことなんて毎回だった。

 

そのときはいつも、翔太が先にホテルに入っている。

そして私の仕事が終わった連絡に対して送られてくるのが、ホテルの名前と部屋番号。

しかもホテルは毎回一緒。場所も翔太の会社から近い場所。完全に私は利用されているだけだった。

 

仕事でクタクタの毎日。

正直、早く自分の家に帰ってゆっくり休みたかった。

でも、翔太に会いたいという気持ちもあった。

 

ホテルに着くと、まるで恋人のように甘い言葉で「おかえり、今日もよく頑張ったね」なんて言ってくる翔太。

その優しさに、私はまんまと騙された。私を繋ぎ止めるための上辺だけの言葉なのに。