残酷なすぎる現実に、腹を立てる気力もなかった。
レイラに対して何かをぶつけるつもりもなく、レイラがいる控室に顔をだす。
取り巻き達が威嚇するような表情でリナを睨んだが、顔に氷袋を当てたままのレイラが手でそれを制した。
「レイラさん。ごめんなさい。私のお客様が…」
そう、のぞみはリナの客だ。
その詫びを入れる必要がある。
しかしレイラの返答は予想だにしないものだった。
「リナさん。…知ってます?私があなたを嫌いな理由。プライドがないって言ったの…だけじゃないんです。
ユウってホスト。知ってますよね?あれね、あんなどうしようもない男だけど、私の彼氏なんで。私は、店に絶対行かないから、客とホストじゃなくて…本当のツレなんですよ。仕事なら何してもいいって…。男は思ってるみたいだけど、女はそれではダメですよね?
人の男の子供なんて産んで…なにしてんの!このクソババァ!!って、ずっと思ってました。
ノンなんか使わずに、あんたが私を殴ったらいい!!殴れよ!」
レイラが目の前にあったメイク道具を乱暴に落としながら、立ち上がりリナを罵る。
―…ああ、そういう事だったんだ…―
玲子は静かに頭を下げた。
Next:5月13日更新予定
次回ファイナル!家に帰ると“少しの間父親の家に行く”という奈緒の手紙がテーブルに置いてあり力尽きて床に座り込んでしまうリナ。翌日【RedROSE】に出勤すると見覚えのある女がそこに…。