NOVEL

彼女がいても関係ない vol.5 ~戦いのコング~

 

「待たせたかな」

 

ギャルソンに案内されて桐生が席につく。

 

「いえ、こちらこそお忙しいのに申し訳ありません」

「おや、いつもと雰囲気が違いますね」

 

差し出されたメニューを開きながら桐生が爽やかな笑顔を見せる。

 

「!」

 

自然な感じで褒められ、礼子も満更ではない。

 

「何が良いかな?」

「あ、お任せします」

「そう?」

 

桐生は慣れた仕草で何品か注文する。

 

「山村さん、ワインは大丈夫?」

 

そう尋ねられ、礼子は小さく頷いた。

 

「じゃ、これを」

 

ワインリストからもオーダーを済ませ、ギャルソンにメニューを渡すと桐生は礼子の方へ向き直って軽く微笑んだ。

 

(私だって・・)

いつかのフレーズが心の中に木霊する。

 

リン♪♫

どこかのテーブルで鳴らされた呼び鈴がまるで戦いのゴングのように響いた。

 

 

Next:2月10日更新予定

 桐生と食事に行くことに成功した礼子。だが、食事中に意外な人物が現れる・・・?