「待たせたかな」
ギャルソンに案内されて桐生が席につく。
「いえ、こちらこそお忙しいのに申し訳ありません」
「おや、いつもと雰囲気が違いますね」
差し出されたメニューを開きながら桐生が爽やかな笑顔を見せる。
「!」
自然な感じで褒められ、礼子も満更ではない。
「何が良いかな?」
「あ、お任せします」
「そう?」
桐生は慣れた仕草で何品か注文する。
「山村さん、ワインは大丈夫?」
そう尋ねられ、礼子は小さく頷いた。
「じゃ、これを」
ワインリストからもオーダーを済ませ、ギャルソンにメニューを渡すと桐生は礼子の方へ向き直って軽く微笑んだ。
(私だって・・)
いつかのフレーズが心の中に木霊する。
リン♪♫
どこかのテーブルで鳴らされた呼び鈴がまるで戦いのゴングのように響いた。
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桐生と食事に行くことに成功した礼子。だが、食事中に意外な人物が現れる・・・?