「最近また私の脚にファンがついたのよ」
リコと知り合ってから、ナルミはより一層自分の持てるものを磨き始めた。
ピラティス講師としての自信をつけ、エステ技術もあちこちに習得しに通い、一冊本が書けるほどの座学も身に着けた。
美を提供するサロンをオープンするのに自分の美をないがしろにはできない。だから、自分の外見も一層磨いた。自由に使える時間は減ったが、その努力を見てくれる人というのは必ずいるものだ。
ナルミの脚はより一層磨かれ、すると、脚そのものだけでなく、ナルミの努力を評価してくれる人も増えた。結果、「これを履いてみてほしい」とプレゼントが送られてくる。
新卒で入社した頃も、脚を褒められることは多々あったが、こんな風に不特定多数に靴を贈られることなどなかった。
ナルミは少しずつ理想の未来へ近づいている実感を得ながら、神崎の横顔を盗み見た。
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ナルミはサロンをオープンさせ、予約は1ヵ月待ちになるほど滑り出しは上々であった。彼女にエルメスの靴を贈った歯科医師とお祝いをする中、ナルミは彼にある提案をする。