お正月の楽しみのひとつでもある「おせち料理」。
一品ずつ意味が込められている、とは聞いたことがあるような…と、おせち料理についてなんとなくしか知らない人も多いはず。前回は、おせち料理の発祥や由来についてご紹介しました。
「めでたさを重ねる」という意味を持つおせち料理。
今回は、おせち料理の種類や意味、中に入れる食材についてご紹介します。ちょっとした豆知識として、お正月の話題にしてみてはいかがでしょうか。
前回:知っておもしろい日本の伝統VOL.1いまさら聞けない!「おせち料理」の意味とは? |
目次
「21種類の定番食材と込められた願い」
おせち料理は「何品作らないといけない」といったルールはありません。しかし、2で割れてしまう偶数は、縁起が悪いと言われているので、品数は奇数にするようにしましょう。
地域や家庭によって異なりますが、20~30種類を用意するのが一般的だと言われています。
一の重
・黒豆
黒く日焼けするほど、「まめに働けるように」「元気で働けるように」といった健康や精励を意味しています。
・数の子
多くの卵が並んでいるので「子孫繁栄」を意味しています。
・ごぼう
地中深く根を張るため「家庭や家業が地域に根付く」ことを祈念する意味があります。
・昆布巻
「喜ぶ」に通じる語呂合わせで、「子生」と縁起の良い字が当てられ「不老長寿」や「子孫繁栄」の願いが込められています。
・紅白かまぼこ
赤は魔よけ、白は神聖さを表します。また、半月の形が日の出に似ていることからめでたいとされています。
・伊達巻
巻物を連想させることから、知識が増えるようにと「学業成就」の意味が込められています。
・栗きんとん
栗は山の幸の代表で、豊かさを象徴し「勝ち栗」とも呼ばれます。黄金色として「金運上昇」の意味が込められています。
・錦卵
黄身は金、白身は銀に例え、その2色と錦の言葉がかけられ、鮮やかな模様を作る絹織物を表し「金運上昇」の意味が込められています。
・田作り
いわしを刻んで肥料とした田畑が豊作になったことから「豊作祈願」の意味が込められています。
二の重
・鯛
赤い色で容姿も美しいことから祝い事にふさわしいと言われる魚です。また、恵比須様がもっている魚として知られ「めでたい」の語呂合わせができ、縁起がいいと言われています。
・海老
長いひげと曲がった腰が長寿の象徴と言われ「長寿祈願」を意味しています。また、目が出ている様子から「めでたい」や、脱皮することから「生まれ変わり」なども意味します。
・ブリ
成長と共に名前が変わる出世魚として知られ「立身出世」の願いが込められています。立身出世を願う方は一年の初めに食べると良いようです。
・はまぐり
左右の貝がピッタリ合うことから「夫婦円満」の願いが込められています。
三の重
・筑前煮
将来の見通しがきくといわれているレンコンなど、土の中に長く根を張る根菜を多く使用します。ひとつの鍋でたくさんの具財を一緒に煮込むことから、家族が仲良く暮らすことなど、末永い幸せを願います。
・手網こんにゃく
結び目があることから「良縁」や「夫婦円満」の願いが込められています。また、手綱を締めることで、心を引き締めるという意味も。
・くわい
突き出た芽から「芽出たい=めでたい」と縁起の良いことを表します。また、芽が空に向かって伸びることから「立身出世」の願いが込められています。角形にすることで、亀を表し、長寿を祈願する意味もあります。
・里芋
種芋から多くの子芋、多くの孫芋が付くことから「子孫繁栄」の意味が込められています。筑前煮の具財としても最適です。また、丸い形は「家族円満」を表します。
・たけのこ
くわいと同様に、天に向かって早く伸びることから「立身出世」の願いが込められています。また、ぐんぐん成長していく様子から「幸運を伸ばす」という意味も。
与の重
・紅白なます
人参と大根で作られる代表的な酢の物料理です。どちらも根菜であることから「根を張るように」という意味が込められています。また、紅白の色合いが水引を連想させることから、平和や平安を願うといわれています。
・菊花かぶ
菊の花に飾り切りし、紅白に染めたカブの酢の物です。祝い事に使用される菊の花から、繁栄や健康を願うといわれています。
・酢レンコン
筑前煮の具財としても使用されるレンコンは、穴が空いている見た目から、将来の見通しがきくといわれ、新年の初めに食べることで「見通しの良い未来に」という願いが込められています。
「各地のおせち料理の特色」
各地域の特色が色濃く残っているおせち料理。その地域ならではの一品があるようです。
氷頭(ひず)なます
北海道では、紅白なますに氷頭といわれる鮭の鼻の軟骨を入れます。コリコリとした独特の食感と、透き通った氷頭が美しい一品です。
お好みでイクラや柚子の皮を乗せても。さすが、日本の水産業の拠点、といったところでしょうか。
海藻こんにゃく
千葉県では、箸休めとしてコトジツノマタやイボツノマタという海藻を、こんにゃくのような形に固めた物を、おせち料理に入れるとか。
水洗い後、鍋で煮て、型に流しいれるという簡単かつシンプルな調理法で、海の栄養を凝縮した一品です。
棒(ぼう)鱈(だら)の煮物
京都府では、江戸時代に鮮度落ちの早い鱈を流通させるために編み出された保存食、棒鱈をおせち料理に入れます。
尾がついたまま3枚におろした真鱈を、完全に水分が抜けるまで干したもです。乾燥した鱈は硬く、棒のような形状になるため「棒鱈」呼ばれるようになったとか。
食べる際には、3日~5日程度水に浸して身を戻します。
その後、ダシ、醤油、みりん、砂糖で煮詰めます。手間暇がかかる料理ですが、天日干しで旨味が凝縮した後、時間をかけて戻し煮込むことで、ホロホロした食感が楽しめる一品になるそうです。
賀日(がじつ)あえ
広島県では、特産品の穴子を使用した賀日あえをおせち料理に入れます。
穴子を照り焼きにした後、茹でたほうれん草と一緒に、醤油、砂糖、酢、白ごまとあえて完成です。海のものと山の物が一度に楽しめる土地にふさわしい一品です。
がめ煮
福岡県では、筑前煮のことを、がめ煮と呼ぶそう。博多弁の「がめくりこむ(寄せ集める)」が由来になっているとか。
がめ煮の特徴は、最初に全ての具材を炒めること。数多くの煮物レシピがある中で、唯一この工程があるのは、がめ煮だけなのだとか。
◆◆各地の特色も入れて
いかがでしたでしょうか。
おせち料理に使用される具財に込められた意味を知ることで、これから迎えるお正月がより楽しみになったのではないでしょうか。現代ほど交通事情や、通信手段、情報の流通が盛んではなかった頃からあるおせち料理。各地の特色が色濃く残っているのも伝統を感じさせますね。気になる一品を作って食べてみるのも思い出になるかもしれません。
それでは、素敵なお正月をお過ごしください。皆様に、幸あれ。
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