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世界遺産の和食を美しくいただくためには 日本人として知っておきたい和食の本当のマナー

 

前回:どんなお誘いにも躊躇する必要なし 意外に知らないお食事会パーフェクトマナー

 

クールジャパンとして、日本の文化の魅力が世界中で評価されるようになってきています。

そんなクールジャパンの中でも、日本が世界に誇れる文化のひとつに和食があります。

世界中の料理と比較しても、和食の見た目の美しさは群を抜いています。

そんな美しい料理を味わう和食のお食事会では、美しい所作やマナーが必要不可欠になります。

 

ここでは、あなたの所作の美しさを最大限アピールできるような和食でのお食事会のマナーについてお伝えしていきたいと思います。

 

Lesson1 和食について

 

世界的に知名度の高い「和食」という名前ですが、厳密には家庭料理も含む日本の食文化全体のことを「和食」と言い、料理店で提供されるような技術を要する料理やおもてなし料理を「日本料理」と言います。

日本料理は、初物や旬などの季節感のある食材を大切にすることが特徴です。

料理を味わう際には、表現された季節感を存分に味わうようにしましょう。

また、日本料理は、さらに「本膳料理」「会席料理」「懐石料理」の3つの形式に分けられます。

 

・本膳料理

室町時代に武家の作法から確立され、日本料理のなかで最も伝統的で格式が高い料理です。

器の並べ方から食べる順序に至るまで、細かい作法が決められています。

 

・会席料理

料亭や結婚披露宴などでお酒と一緒にいただく料理で、現在の日本料理の主流といえるものです。

お酒を楽しむことが前提となっているため、料理の出し方の順序も決まっていて、飯や汁などは最後に出されます。

 

・懐石料理

茶会の席でお茶をいただく前にもてなされる食事のことです。

一汁三菜を基本としていて、飯や汁から供されます。

同音の「会席料理」と区別するために、「茶懐石」と呼ばれることもあります。

 

Lesson2 料理人とのコミュニケーション

和食をリスペクトするためには、その料理を作ってくれる料理人に関しての情報を知っておくことが必要です。

和食を作ってくれる料理人の呼び名としては、「板前」という名前が一般的です。

客前にあるカウンター内を「板場」と呼び、そこで働ける職人を「板前」と呼ぶことが一般的です。

実は、その和食の職人の世界には、私たちが思っているよりもはるかに厳しい上下のヒエラルキーが存在しているのです。

 

板場の総責任者は、「板長(いたちょう)」や「花板(はないた)」などと呼ばれます。他の板前や見習いたちを監督しつつ、献立全般を定めて調理作業を指揮します。

カウンターに立つ際は、最終の調理を担当しつつ来客応対が主な業務になっています。

 

板長と懇意になれることが、和食店での一種のステイタスともなります。

板長の料理へのこだわりを知ることで、お料理を何倍も楽しむことができるからです。板前さんたちを労うひとつの方法として、差し入れがあります。飲食店へ食べ物を差し入れしてよいのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、板前さんは研究熱心な方が多いので、食べ物の差し入れは大歓迎されます。

食べるのに手間のかかるフルーツなどは避けるようにして、簡単につまめるような旬のフードを持参するようにしましょう。

会話の話題にもなって、一石二鳥です。

Lesson3 間を楽しむ

 

席に着いてからや次の料理が運ばれるまでの間や雰囲気も、楽しむようにしましょう。

美しく書かれたお品書きを見ながら、あれこれ会話をすることも、和食ならではの楽しみです。

 

お店の方に「夏らしい一品ですね」「この魚はどこ産のものですか」などと問いかけてみましょう。

おいしかったら、素直に感動を言葉にするだけでもよいでしょう。

あくまでも「和」の雰囲気を大切にしながら、適度な「間」を生かすことが、古くから伝わる伝統的な会話の楽しみ方と言えます。

ただし、話を盛り上げようとして自分ばかり話す行為はNGです。

 

せっかくの楽しい時間ですから、参加しているメンバー全員がゆったりとおいしく食べられるように気遣いをしましょう。

 

 

Lesson4 和の雰囲気を味わう

和の雰囲気を演出するものに、掛け軸があります。

掛け軸には、お客様をおもてなしするという意味が込められ、客間に装飾されています。

お部屋のコンセプトや部屋を飾った人のポリシーなどが込められていて、そのメッセージを読み取れることが通の証となります。

 

掛け軸のモチーフは、四季によって異なります。

 

モチーフ:桃・梅・桜・鶯

時期:1月〜4

華やかな春の訪れを待ちわびるような図柄が多くなっています。

 

モチーフ:朝顔・紫陽花・金魚・滝や清流

時期:4月〜8月のお盆前まで

涼しさを表現する青を基調に、花や鳥の図柄が多くなっています。

 

モチーフ:栗・柿・紅葉・落ち葉・秋桜

時期:8月のお盆過ぎから11月まで

日本らしい美しさを表現している、朱色に染まる紅葉や山景色の図柄が多くなっています。

 

モチーフ:水仙・椿・牡丹・菊・南天・紅白梅

時期:12月から2月の立春まで

厳しい冬に見事な花を咲かせる梅は、大願成就につながると言われており縁起のいい図柄です。

 

掛け軸に込められたお店の方のおもてなしの心を読み取れると、和食の楽しさが増していくことでしょう。

 

Lesson5 食器を味わう

 

目にも鮮やかな和食の美しさですが、料理やお酒の魅力を最大限に引き出すために重要なものが食器です。

名店や一流料亭で冷酒をいただく際に、切子が出されることがあります。

切子とはカットグラスの和名のことで、江戸切子や薩摩切子などが有名です。どちらも日本の伝統的な食器で、日本酒など美味しいお酒を飲むにはぴったりのガラス細工ですよね。

 

江戸切子と薩摩切子は名前が違うだけで、同じようなものだと思われていませんか?

しかし、江戸切子と薩摩切子には、日用品と美術品ほどの差があるのです。江戸切子は江戸時代に、町民によって生みだされて楽しまれたガラス細工です。一方で、薩摩切子は薩摩藩によって生みだされたガラス細工であり、大名への贈り物や篤姫の嫁入りの品として用いられたという歴史があります。

 

 

江戸切子は現在まで継承され続けてきましたが、薩摩切子は藩がなくなるといったんその歴史が途絶えてしまいました。日用品として使用され続けてきた江戸切子は、6000円程度から購入することが可能です。

しかし、美術品としても扱われていた薩摩切子の価格は25000円程度からとなり、高級品だと400万円を超えるものもあります。

そんな歴史に思いを馳せて味わうだけでも、お酒の味が変わってくるのではないでしょうか。

 

 

Lesson6 奥ゆかしさの美学

 

洋食のレストランでは、レディーファーストが主流となっています。

しかし、和食のお店においては「主人(男性)」が先に立ち、女性は奥ゆかしくその後ろをついていくのが正しい作法とされています。

「奥ゆかしい女性」というと、静かな女性をイメージする方もいると思います。

しかし、本当の奥ゆかしい女性とは、自己主張しすぎずに空気を読むことができ、相手を上手に立てられるという女性のことなのです。

和食のお店でこそ、あなたの違った一面を見せられるチャンスなのかもしれませんね。

 

◆◆

 

いかがでしたでしょうか?

和食でのお食事会のマナーについてわかっていただけたはずです。

 

和食を表す言葉に「おもてなし」があります。

似たような言葉に、洋食での「サービス」がありますが、これらは全く異なったものになります。

サービスは、マニュアルの範囲でできるものであり、サービスと受ける側との間に主従関係ができています。

一方、おもてなしとは、人と人との対等な立場でのつき合いであり、見返りを求めず相手のために尽くすといった意味があります。

 

この「おもてなしの心」は自然に受け継がれている日本の文化であり、一緒に食事をする相手や料理人や接客係の方に感謝をしながら和食を味わうことが最高のマナーとなっているのですね。

 

次回は、イタリアンのお食事会についてのマナーについて説明していきたいと思います。お楽しみに!

 

前回:どんなお誘いにも躊躇する必要なし 意外に知らないお食事会パーフェクトマナー