幅広い世代で人気があるスノーボード。その魅力といえばやはり、銀世界を疾走する爽快感。
回数を重ねるごとに楽しさが増していき、気がつけば冬の楽しみになっているという方も多いでしょう。
前回は、スノーボードの歴史をご紹介しました。今回は、スノーボードの競技についてご紹介します。
これを知れば、競技観戦もグッと楽しくなるはずです。
前回:回数を重ねるごとに楽しさが増す!?雪上を疾走するスノーボードの魅力にせまる【歴史編】
目次
大きく2種目に分けられるスノーボード
スノーボードがオリンピックに登場したのは、1998年の長野オリンピックのこと。この時行われた競技は「ハーフパイプ」と「パラレル大回転」の2種目のみでした。
その後、人気が高まり、2022年北京オリンピックでは5種目もの競技が行われました。これら5種目は、エアの高さや技の難易度を競う「フリースタイル種目」とスピードを競う「アルペン種目」に分けられます。
フリースタイル種目とアルペン種目では、使用するボードに違いがあるのも特徴です。
スピンや後ろ向きで滑ることが多いなど、多彩な技を繰り出すフリースタイル種目では、前後どちらの向きでも滑れるように、前と後ろが反り上がったツインチップ形状で、比較的軽量なつくりになっているボードを使用します。
一方、スピードを競うアルペン種目では、トップ部は反り上がっていますが、テール部はターンをしっかり仕上げられるようにフラットに設計されているボードを使用します。
フリースタイル種目
「ハーフパイプ」
一番初めにオリンピック種目となった、ハーフパイプ。
円柱を半分にカットしたような形状をしている場所(構造物)を、振り子のように行ったり来たりして技の難易度を競います。
複数の審判が100点満点で採点し、その最も高いスコアと最も低いスコア、2つを除く4つの平均スコアで勝者が決められます。
評価基準は、技の難易度、完成度、高さ、着地の安定感、全体の構成、空中での体勢や、どれほど上空に飛び出せるかも高得点を狙うポイントになります。
世界トップクラスになると、ハーフパイプの最上部から9mも上空に飛び出すということですから驚きです。
着地での転倒や、手をついてしまうことなどは、減点されてしまう要素。
ほぼ垂直に加速し、圧倒的な高さを出すハーフパイプは、見ている側も緊張感と解放感を味わうことができるでしょう。
「ビッグエア」
2018年平昌オリンピックから採用された歴史の浅い競技、ビッグエア。
30m以上の高さからの急斜面を滑降し、キッカーと呼ばれるジャンプ台から飛びだし、空中での技を競います。
ビッグエアのジャンプ台は、スキージャンプよりも傾斜がきつく、踏み切り部分は少し反り上がった形状になっているのが特徴です。
ジャンプの難易度、完成度、高さ、着地などが採点基準となり、ストレートのランディングから一発勝負というシンプルなルールなので、初めて見る人でも技の違いなどが分かりやすいでしょう。
大会によって異なりますが、複数回滑りその中で良い点数2本分の合計得点で競います。
空中での滞在時間や飛距離など、ダイナミックなビッグエアは、見ている側もスピード感と浮遊感を味わうことができるでしょう。
「スロープスタイル」
2014年ソチオリンピックから採用され、2022年1月に開催されたFISワールドカップで、日本選手の活躍も話題となったスロープスタイル。
ジャンプ台や、レール、ボックスなどの「ジブ」と呼ばれる障害物が配置された600~1000m程のコースを滑りながら、グラウンドトリックやエアトリックの技を繰り出し、そのスコアで競います。
コースの前半はジブセクション、後半はジャンプセクションと呼ばれ、ジブセクションのメインとなる「レール」は、ストレートレールのほかに、キンクレールやレインボーレールなどで構成され、それらを各選手が工夫し滑りを見せます。
「ボックス」は、どちらかといえば低難易度で得点がそれほどでないと言われていますが、工夫次第では高得点も狙えるとか。
最後のキッカーは特に大きく設置されていることが多く、注目を浴びることから大技を持ってくる選手が多いようです。
ルールは、予選、決勝で複数本滑ったスコアのなかで一番高い点数で競うベストスコア方式。2名以上の審判が各セクションのスコアを付け、それを元に総合的に評価する審判が採点を行います。
1回の演技で多くのテクニックを見ることができ、見ている側も異次元の楽しさを感じることができるでしょう。
アルペン種目
「スノーボードクロス」
変化が多いコースを、選手同士が接近して滑る様子から「雪の上の格闘技」と呼ばれているほど激しいスノーボードクロス。
定められたコース内を複数人が同時にスタートし、ゴールまでの速さを競うシンプルなルールで、勝ち残った選手が次のステージに進みます。予選で一人ずつコースを滑り、タイムを計測する大会もあります。
コース内には各所に、飛距離の出るキッカーや上下の起伏が連続するウェーブ、急カーブのバンクなどが用意され、縦横方向の変化にも対応しなくてはなりません。接触や転倒が当たり前なスノーボードクロスですが、旗門から外れることや、故意の妨害は失格に。
誰がいち早くゴールするか勝負の行方が単純明快なスノーボードクロスでは、最後まで目が離せないハラハラする展開を味わうことができるでしょう。
「パラレル大回転」
ハーフパイプと共に一番初めにオリンピック種目となったパラレル大回転。
並列するコースを2名の選手が滑り降り、最も早くゴールした人を勝者とするシンプルなルールです。コースは全長180〜220m、アルペン種目の中でも最短距離です。
予選は選手全員に不公平がないよう、2本のコースをそれぞれ1回ずつ滑るタイムトライアル方式。2回のゴールタイムを合計し、最も早い選手から順位を決定し、上位16名が決勝に進みます。
決勝は2名の選手が並列するコースを同時にスタートし、早くゴールした選手が勝ち上がるトーナメント方式。
選手のターンテクニックを見つつ、誰がいち早くゴールするか勝負の行方が単純明快なパラレル大回転も、最後まで目を離すことができません。
◆◆種目別のルールを覚えて
いかがでしたでしょうか。
ウィンタースポーツに新しい風を吹かせたスノーボード。ルールを知ることで、より楽しく観戦することができます。
プロの方々のように滑ることができなくとも、朝日が昇るゲレンデや雪の舞うナイターなど、幻想的な風景を見ながらのスノーボードは格別です。非日常の銀世界で、浮遊感や解放感を味わってみてはいかがでしょうか。きっとこの冬、スノーボードの虜になるはずです。
前回:回数を重ねるごとに楽しさが増す!?雪上を疾走するスノーボードの魅力にせまる【歴史編】