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元モデルが語る、健康と美容の両方を叶えるありのまま美しさとは? Vol.1

あなたは健康美とは何か、考えたことがありますか。

それぞれ様々な回答があると思います。でも私の答えはひとつです。10代よりプロのモデルとして7年間、仕事をし、美と向き合い、辞めた今だからこそ言える結論は

「健康美とは今の自分自身を受け入れ、そんな自分に自信を持つこと」です。

外見を売りにしている人たちの凄まじい努力を目の当たりにした10代。

若いから可愛い、美しいことは当たり前の中に、理想とする美を全力で追求した20代前半。

モデルを辞め、高い美意識を捨て、ストレスから解放された20代後半。

そして現在、エイジングケアと健康も意識する30代。

誰にでも「自分が一番キラキラと輝いていた時期」というのがあるかと思いますが、私の場合、それがモデルを辞めた20代半ばでした。その理由は極端に高い美意識を保つストレスがなくなり、やりたいことに全力で、若さも可愛さもあったなぁと思えるからです。

しかし30代になった今、若さでカバーできるものは少なくなってきています。40代、50代と年を重ねればそれも段々なくなっていきます。そんな時にふと「私の魅力って何だろう」と思う訳です。イキイキとした若さだけが魅力でも、美しさでもなくなると、「昔はあんなに可愛かったのになぁ」とか「私にも綺麗な時があったんだから」という昔話に花が咲いて、現在の自分の姿を受け入れられないということは誰にでもあります。

でも今のあなたも、昔のあなたと同一人物なのです。つまりあなた本来の魅力は、外見だけではなく、内面があってこそのはずです。

過去の栄光や外見にとらわれず、今の自分に自信を持つこと。それが自然とあなたの魅力となって外見に現れることが年齢を重ねた美しさへと繋がると、私は思っています。

 

このコラムでは、そんな年齢を重ねたからこそ見つめ直したい「健康美」とは何か「ありのままの美しさ」とは何か2週に渡ってお話します。

 

ありのままの美しさとは

「ありのままで美しい」私がそれに気づいたのは去年、もうすぐ三十路になろうという20代最後の頃でした。たまたま食事に出かけた時に「20代は楽しかった?どんな30代にしたいの?」と聞かれ、真っ先に浮かんだのは海外留学とワーキングホリデーに行った事でした。実は私、海外に行くことに憧れていて、ちょうど25歳~27歳になる年にかけて2年程海外生活をしていました。それは言葉も通じない、頼れる人もいない、行ったこともない初めての土地で「これが自立なんだ」と肌身で感じながら全力で過ごしていた期間でした。

 

ですが、そんな質問の回答に一番驚いたのは、他でもない自分。海外という全く新しい環境でのストレスはあったものの、一番頑張っていたモデル時代よりも、それを辞めてからの自分の方が好きだったのです。

あんなに美に気を使って、綺麗にしていた頃よりも、食事も不規則で夜中の2時にラーメンを食べたり、睡眠時間も毎日34時間という生活を送り、ジム通いも辞めて太っていた時が一番良かったと思うなんて、本当に笑えました。

もちろんモデルを辞めて直ぐは気のゆるみから太り、人に会うことも嫌になった時もありましたが、海外で生活すると決めてからは、身を粉にして働き始めたことでそんなことは気にならなくなりました。あまりに忙しくなったので、モデルの頃とまではいかなくとも勝手に痩せていったという方が正しいかもしれません。ですが、それ以上に気持ちの面での変化が大きかったことを覚えています。モデルをやっていた頃よりも気持ちは穏やかで、ストレスも少なかったのです。何より目標に向かって行動していることが辛くても楽しくて、その気持ちのまま海外でも過ごしていました。写真を見返してみても、この頃の自分が一番輝いていて、好きな時だったなぁと心から思います。

 

この経験から、やりたいことのために頑張っている姿こそ、その人本来の魅力を引き出し、美しさを磨くと、30代を目前に気づきました。「ありのままで美しい」とは、あなたが本当にやりたいことを素直に実行することができて初めて成立するのです。

今思えば、第一線で活躍していたモデルたちは純粋に「モデル」という仕事が好きだからこそ活躍しているんだと思います。現場でも謙虚な姿勢で、チームで一つのものを作り上げることに精力を出していました。つまり、仕事に面白さを感じ、好きだからこそ、そこに携わるために「ケアを怠らない」という美の姿勢でした。

一方で、新人モデルや私のように続けられなかった人は「美しさ」ばかりを追求していたと思うのです。残念ながら私は仕事として「ケアを怠らない」という美の領域までたどり着けませんでした。よく自分がなりたい人を真似ることが成功や上達の近道のように言われますが、私の場合はモデルという部分でかなり無理をして本当の自分とは違う美しさを追っていたと思います。

どんな事でも、その世界で活躍し続けられる人というのは、仕事や趣味だったり、取り組んでいる事をとても楽しんでいると思います。その過程や、成功がその人をイキイキとさせ、自信に繋がっていくんだと、モデルを辞め、色々な経験をした今だから分かるようになりました。そして多くの人に会い、私が思う美しい人は仕事や人生を純粋に楽しんでいると感じます。年齢を重ねても美しい人の魅力は、人柄や、エネルギッシュに活動している姿など、見た目以外の物を持っています。「ありのままで美しい」とは、好きなことや、やるべきことに一生懸命取り組んでいる姿でもあると思うのです。

 

健康よりも美しさを欲する要因

そもそも一般的に「美の追求」は、それが過去の自分であろうと、他人と比較してみた結果、ない物ねだりから始まると私は考えています。なぜなら私たちの美しさの中で特に分かりやすいものが見た目だからです。モデルをやっているとそれが顕著に評価されるためいつも気を付けていましたが、年齢を重ねていくと、本当にそれを追うことが美しさへと繋がっていくのかは疑問でした。というのも、私自身モデルを辞めた今の方が健康だからです。

よく無理なダイエットは体を壊すと言いますが、それ以前に心が壊れることもあります。高い美意識を持った美の追求は、自分の外見を商品として仕事をしている人だからこそ求められる部分でもあります。でもあなたの場合、そこまでして追い求める美しさは誰のために必要なのか考えたことはありますか?

 

私の結論はない物ねだりという名の「自己欲求」です。見なければ何とも思わなかったのに、理想とする体型や外見を持っている人を目の当たりにすると、同じようになりたいと憧れてしまうものです。このない物ねだりが、健康よりも美しさを追求してしまう最大の原因です。

私はモデルをしていた間、ずっと「周りと比べて自分は」と考えていたことを覚えています。その時は美を追求することが当たり前だと思っていたので、周りと比較する必要は全くないと気づくのにとても時間がかかってしまいました。私たちの本当の魅力や美しさは、自分自身を受け入れた先にあります。人間は個性を持って生まれてくるので、それぞれに体の限界があるのですが、理想にばかり走り、その度合いを分からず美を追求している人は過去の私だけではないはずです。

 

実際、モデルや俳優のような美しさ、筋肉をつけるには相当な努力と時間、お金がかかることを私はよく知っています。「美は一日にしてならず」という言葉がある通り、毎日の食事管理、トレーニング、肌や髪のケアなど、外見を売りにしている人たちの努力はプロそのものです。肌のケア一つ取っても、外に出る時は肌を一切露出しない、海やプールにはいかない、揚げ物も油が跳ねてやけどを負う可能性があるからしない、という生活に大きな変化をもたらすレベルです。実際、モデルをやっていた間は海に一切行きませんでした。にもかかわらず元々焼けやすい体質の私は直ぐに黒くなりよく怒られていたものです。他にも真夏でも年中白湯か常温の水や飲み物など、口にするものの徹底、体を整えるための骨盤矯正や、筋力トレーニング、脂肪燃焼の有酸素運動。本人の努力だけではなく、エステなど外部のプロの手も借りてケアしています。そのような人たちがそこまでして手に入れたものは当然美しく、綺麗です。しかし、それは外見を仕事にしている人の価値観であることを忘れないでください。

 

当たり前のことですが、健康を忘れて、美しさだけを追い求めると、体も心も悲鳴を上げてしまいます。私がモデルをやっていた当時はちょうど高校生~大学生ぐらいの年齢で、これから美容に興味も湧くような時に、いきなり「プロの美」が求められる環境でした。もしかしたらマネージャーや先輩たちはそこまで求めていなかったかもしれませんが、そんなプロの美を目の当りにしたらどうしても自分と比べてしまうし、同じことをすれば先輩たちのように綺麗になれるのかと頑張ることが、10代の体にとっていかに負担で、ストレスだったか分かるかと思います。

人間の一番の資本は健康です。健康だからこそ衣食住を持ち、日常生活を送ることができます。その健康の上に美容が成り立っていることを忘れないでください。私はモデルをやっている間、よく太ったり痩せたりしていましたが、ダイエットと同じで体重の増減は体に負担です。美を追求した結果、いくら自分で美しいと思っていても、周りから健康を心配されるのであれば、それは間違った方向に進んでいる証拠です。無理をして手に入れる美は健康を損ねるだけではなく、あなた本来の美しさからも離れてしまう可能性があります。

健やかな美しさを手に入れるために、まずは理想よりも「今の自分を受け入れる」ことを始めてみることが「健康美」への第一歩だと、私は思うのです。他人と比較しなくても、今の自分を受け入れる努力を積み重ねる方が、ずっと自然体で健康になれるし、あなたの魅力に繋がっていきます。その努力こそ本当の意味での「美は一日にしてならず」だと私は思っています。簡単ではありませんが、これをいかに2週間、1ヶ月、3ヶ月と続けられるかで1年後2年後のあなたは大きく変化しているでしょう。

 

 

Next726日更新予定

「元モデルが語る、健康と美容の両方を叶えるありのまま美しさとは? Vol.2」をお送り致します。お楽しみに!