健康は誰にとっても大事なもの。年齢を重ねるにつれて一層気になるものであろう。
ビジネスパーソンであれば、日々の業務をより最適にこなすために自らの健康をコントロールすることも求められてくる。スマートなビジネスパーソンほどその意識は高いといえる。
第1回目は健康を管理するためのベーシックな知識に加え、健康資産という考え方について紹介していこう。
自分でマネジメントできるもの、それが健康
あなたは今朝何を食べただろうか。また、仕事中に何を飲んだだろうか。それはすべてご自身で選択し、自らの手で口に運び飲み下したであろう。無理やり口を開かされて入れられるのではない限り、何を口にするかは、すべて自分の意志で決められるものである。
‘YOU ARE WHAT YOU EAT.’という言葉がある。フランスの美食家が述べたものだが、「あなたの身体はあなたの食べたものでできている」という意味。
まさにその通りである。日々食べてきたもので現在の身体が構成されているのだ。だからこそマネジメントには力を入れていただきたい。
冒頭の質問に戻るが、今朝何を食べたか、あなたは堂々と言うことができるだろうか。何となくありあわせのものを食べたり、急いで何かを食べたり。もしくは何も食べていない人もいるだろう。
そのような方は今日から心を入れ替えて頂きたい。口にするものは自分で「選択」して食べるのだと。
昨日今日で急に不健康になるのではない。蓄積された日々の食事が現在のありのままのあなたなのである。それを肝に銘じ、読み進めていただければ幸いだ。
ベーシックな栄養知識は必須のスキル
栄養知識というと少し堅い印象かもしれないがおさらいをしていこう。
まず基本的な栄養素は何か?それはたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル。
よく耳にする「糖質」というのは炭水化物の一部である。炭水化物は糖質と食物繊維を合わせた総称なので覚えておくとよいだろう。
それぞれの働きは下記のように分けられる。
①たんぱく質(肉、魚、卵、豆類、乳製品に多い)
②脂質、炭水化物(糖質+食物繊維)(穀物、油製品に多い)
③ビタミン、ミネラル(野菜に多い)
毎日の活動強度、年齢や体重によって摂取すべき量は個人によって異なるが、これらの栄養素を偏らずバランスよく摂取することが必要だ。
しかし「バランスよく」というのは難しいと感じるかもしれない。そこで参考になるのは色と品目である。
パッと見るだけ!参考にしたい色と品目
食材は赤、黄、緑、白、茶、黒と大まかに6色に分けられる。さて、今日これから食べる1食のうちに何色の食材があるかを是非見ていただきたい。もちろん加熱などで調理後の色が変わってしまう場合もあるので、その際は元の原材料の色を思い浮かべてほしい。
赤、黄、緑は野菜に多い色なのでこの色が見当たらないようであれば野菜不足、すなわちビタミンやミネラルが不足している可能性がある。
調子を整える働きのあるビタミンやミネラルが不足してしまうと、パソコン作業で眼が疲れたり、疲れた身体が回復しにくく業務に影響が出やすくなる。
6色すべてを1食の中に取り入れるのは難しいかもしれない。その場合には次の食事でカバーできるようにすると良いだろう。
そして次に確認するのは品目。
肉、魚などのジャンルである。毎日肉ばかりを食べていないか、毎日パンばかりを食べていないか。例えば昨日のランチで唐揚げ定食を食べたなら今日は焼き魚定食にしよう。ランチで魚を食べたならディナーでは、豆をたっぷり入れたカレーはどうか。
このように続けて同じ品目のものを選ばず、他のジャンルの食材を選ぶようにすると幅広い栄養素をまんべんなく摂取することができる。栄養というとつい一日〇gというように細かくイメージしがちだが、色と品目を目安に選べば自然とバランスが整ってくるものである。
「そうはいっても家の食事は毎回自分が作るわけではないし、夜は会食もあるし…」といった声も聞こえてきそうだ。
アクティブなビジネスパーソンにとっては毎回の食事を意識するのは厳しいかもしれない。その場合、毎日ではなく3日から一週間単位でバランスを意識してみてはどうか。健康のプロフェッショナルであっても毎食毎日をきっちりバランスよく摂ることは難しい。数日単位で管理することをお勧めする。
そして最後に一番頼りになるのは自分の感覚。
ちょっと疲れているな、何となく頭がすっきりしないな、等自分にしかわからない状態に応じて食事を摂取しよう。身体によい食べ物も悪い食べ物もない。量と食べ方次第で毒にも薬にもなるのだ。
是非次の食事から意識をしていただきたい。
健康資産はライフシフト時代に必須の項目
もはや一般的になりつつあるライフシフトという言葉。人生100年時代という考えに則ると現代人は80歳くらいまで働くと言われている。長いスパンでビジネスに携わる可能性が高い。
人生を豊かに過ごすためには様々なキャリアの可能性を持つことが必須とされているが、それを支えるものが健康資産であろう。健康であることがお金やキャリア、人間関係と同様の資産と考えられる時代なのである。特に高度経済成長期からバブル以前の日本では、残業をしてより長く働くことが美徳とされた傾向もあったことは否めない。
しかし現在は異なる。プライベートの時間も必要であるし、働き過ぎて体を壊してしまうのは自己管理がなっていないと思われるはずだ。そして現在疾病がない方でも避けられない現象、それは老化。
多くの方は、20代のうちは多少無理がきいただろう。ちょっとくらい暴飲暴食しても、寝不足であってもすぐに回復できていたはずである。しかし年齢を重ね35歳を過ぎたあたりから、自分もしくは周りで健康診断に引っかかる人も増えてきたのではないだろうか。
もうこれまでのように無理はきかない。そう実感した時が健康管理の考え時である。
睡眠と食事で仕事のパフォーマンスが変わる
健康を支えるものとして食事以外に挙げられる睡眠だが、あなたはどれくらいフォーカスしているだろう?
マットレスを替えたり、枕をオーダーメイドにしたり、天然素材のパジャマにしたりとこだわる方も大いにいらっしゃるに違いない。
そこでもう一つ、夕飯を考えてみてはいかがだろうか。
人が眠りにつくとき、体温が下がる時がベストタイミングだと言われている。夜お風呂に入って身体が温まり、火照った体温が下がって少し落ち着くときにベッドに入ると深い眠りに入りやすい。寝具やパジャマも重要な要素であるが、一番気を付けたいのはその時の胃腸の状態だ。
夕食で揚げ物や肉など消化の悪いものを食べてないか。それらを消化しようとして胃腸が活発に動いていると、身体は休みたいのに休めない状態になってしまう。即ち浅い眠りにつながりやすい。
遅い時間に食べるのも同様だ。少なくとも寝る2時間前に食事を済ませておくのがベターである。胃腸を落ち着かせてから食べる、これが深い眠りに誘う必須のポイントだ。
睡眠と食事、これらのベーシックな部分を整えたら次はパフォーマンスをより上げるための食事をマスターしていこう。
Next:6月1日更新予定
次回は「ビジネスパーソンのヘルスケアvol.2 健康管理も仕事のうち! 食材で自らのパフォーマンスをコントロールするには?」をお送りいたします。お楽しみに!