明けましておめでとうございます。年が改まると、全てが新しく感じられるものです。
そんな中、一年の感謝を捧げ、新年の幸せをお祈りするために初詣へ行かれる方がほとんどではないでしょうか。昔ながらの風習の中でも、特に長く息づいているであろう「初詣」。
今回は、そんな初詣の意味や由来、基本的なマナーについてご紹介します。
詳しく知ることによって、より晴れやかな気持ちで新しい年をスタートさせることができるはずです。
目次
初詣の意味
皆さんがご存じの通り「初詣」は、年が明けてから初めて神社やお寺へお参りすることを意味します。
「詣」という漢字には、社寺をお参りする、参拝するという意味があるので、つまり初詣は文字通りの意味というわけです。旧年無事に過ごせたことに関する感謝の気持ちを伝えるとともに新年が良い年になるよう、願掛けします。
願い事を優先してしまう方も多いかと思いますが、まずは感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
初詣の由来
初詣の由来のひとつに、平安時代から伝わる「年籠り(としごもり)」という風習があります。
年籠りとは大晦日の夜、神社に仕える氏子の家々の家長が氏神様の祀られた寺社に籠もり、新年の豊作や安全を元旦まで寝ずに祈り続けるというもの。
この年籠りが、時代と共に変化し、大晦日にお参りする「除夜詣」と、元旦にお参りする「元日詣」の2つの風習に分かれ、元旦詣が初詣として定着したのではないかと考えられています。
初詣という言葉が使用されるようになったのは、大正時代頃。それまでは「恵方詣」などと呼ばれていたそうです。
現在こそ、交通網の発達などの関係から恵方にこだわらず、思い入れのあるお寺や神社にお参りに行くようになりましたが、昔はその年の恵方にある神社にお参りしていたとか。
この「恵方」という言葉、節分の際によく耳にしますが、実はその年の縁起のいい方角のことを指します。
✎恵方は・・・ 「子、丑、寅、卯、辰…」の十二支と、「甲、乙、丙、丁…」の十干を組み合わせたもので、全部で60通りもあるようです。 |
初詣はいつまでに済ませるべき?
一般的には、1月1日~3日の三が日、もしくは、年神様がいらっしゃる期間といわれている「松の内」までに行くようにすると良いようです。
松の内は、関東では1月7日まで、関西では15日までと、期間に違いがあるようです。どうしても予定を合わせることができず、松の内が終わるまでに初詣に行けなかったという場合には、1月15日の「小正月」、あるいは節分の翌日に当たる「立春」までに詣でるのがいいといわれています。
しかし現在では、新型コロナウイルス感染症を取り巻く状況から、全国の神社やお寺で、感染拡大の予防対策を講じているようです。
本来は松の内までと期間を設けていた社寺も、旧正月にあたる2月1日、節分の2月3日、旧小正月の2月15日まで参拝期間を延長するなどして「分散型初詣」を実施しているところも。
これも、時代と共にゆっくりと変化しているといったところでしょうか。
神社とお寺どちらへ行くべき?
一般的に、神社は「神様」、お寺は「仏様」がいらっしゃる場所といわれています。信仰上の理由があれば別ですが、神社とお寺、どちらに初詣に行っても構いません。
日本古来の神道には「氏神さま」という考え方があり、初詣は地域の神様にお参りするのが良いとされていました。しかし、決まりではないため、ご利益別に複数の寺社を回ってもいいとか。
なお、お寺の場合は、自分の干支の守護本尊がまつられているとさらに縁起が良いと言われています。
ちなみに、卯年の守護本尊は「文殊菩薩」。知恵を司る菩薩で、インドに実在した人物だそう。釈迦に付いて出家し仏典結集に参加した知恵者で菩薩の域に達したといわれています。
お参りの順番
まずは自宅の神棚に年神様をお迎えし、年神様とご先祖様へ挨拶します。
神棚がない場合は、鏡餅が年神様の拠り所と言われています。次に、地域の神社、お寺を参拝するようにしましょう。
居住地域と異なる有名な社寺への参拝は最後に。神社やお寺によって、祀られる神様や仏様のご利益は異なります。ご利益毎に複数の神社、お寺を参拝してもバチが当たるといったことはありません。
感謝の気持ちを大切にし、神様、仏様をしっかりと想う気持ちを持つようにすることが大切です。
お願い事は何個まで?
願い事の数はひとつでなければならないのでは?と思う方、叶えたいことをとことんお願いする方、様々な意見があるかと思います。そんな願い事の数や内容に関してこれといった決まりはありません。
しかし、神社によっては願い事を「欲張ってはいけない」といった考え方のところも。事前に調べておくと安心かもしれませんね。
初詣はあくまでも旧年の感謝の気持ちを伝える場。あれもこれもと欲張ってたくさんの願い事をするよりは、的を絞ってしっかりとお願いすることをおすすめします。
叶えたい事を神様に伝え、それを有言実行するために自分自身を奮い立たせるという考え方をするといいかもしれません。
また、ご利益を授かるためには、神様に見つけてもらいやすくするため、名前と住所も併せてお伝えすること、帰りは寄り道をせずにまっすぐ帰宅することを心がけましょう。
喪中の場合の初詣
身内が亡くなった際、遺族が一定期間、喪に服することを忌服(きぶく)といいます。この忌服の期間を喪中といい、期間中は故人の冥福を祈り、お祝い事は控え、つつましやかな生活を送るのが習わしです。
そのため、新年の挨拶や年賀状のやり取りも避けることが一般的。
それでは、初詣はどうでしょう?
実は、各神社、お寺によって考え方が異なるようです。死=けがれ、と捉える神道では、喪中の1年間は参拝するべきでないと考える神社もあれば、忌中の50日を経過すれば参拝しても良いとする神社もあるようです。
しかし、死をけがれと捉えない仏教の場合は、ご先祖様や故人に新年の挨拶をするという意味で、忌中でも喪中でも参拝することに問題はないといわれています。つまり、喪中に初詣に行く場合は、お寺を参拝すると良いでしょう。
◆◆新年の幸せを願う
いかがでしたでしょうか。
初詣の列に並んでいる間、由来や意味を親戚やご家族にぜひ話してみてください。
次回は、参拝の仕方や注意事項、縁起物の意味についてご紹介します。どうやら、神社とお寺では参拝の方法が異なるようです。「初詣」について知識を得れば、例年のお正月よりも少し、いい気分で新年のスタートを迎えることができるかもしれませんね。
次回:『いまさら聞けない!「初詣」の参拝マナー』をお送りします。お楽しみに!