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【教育の多様性】日本の学校と海外の学校、どちらが子どもの成長に最適?

日本の学校と海外の学校、子供をどちらに通わせるのがいいの?この記事では、日本の学校と海外の学校の教育システム、カリキュラム、そして子どもの成長に与える影響について詳しく解説し、少人数制の授業やアクティブラーニングなど、海外の学校で取り入れられている最新の教育方法もご紹介します。

 

教育理念やカリキュラム

日本の教育の基本は「教育基本法→学校教育法→学校教育法施行規則→学習指導要領」という順に成り立っています。現場の教員は、学習指導要領を基に子供に合わせて教育を行うことで、教育基本法の目的を達成していくのです。

文部科学省の教育基本法によると、日本の教育理念の目的として「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない」と表記されています。この目的を達成するために、「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと」など、より具体的な5つの目標が掲げられました。重要なのは、これらの目標を達成するために、特定の教科だけに頼るのではなく、学校のあらゆる活動が関わっているということです。つまり、授業だけでなく、部活動、行事、人間関係など、学校生活のすべてが目標達成のための貴重な機会となりうるのです。

しかし、この教育理念は、あくまでも国が目指す人物像を基にしたもの。社会の状況や価値観の変化に合わせて、教育の目的や目標も変わっていく可能性があります。

また、日本は国が教育方針を決めるのに対し、海外では地域ごとにことなる教育方針があり、それぞれ教育制度が違うので、個々の学校が自由に教育プログラムを設計できることが多いようです。教育の中心は子供であり、海外では子供の利益を最優先に考える自由な教育が目立つように思います。これからの将来を考えるならば、そういった海外の教育方針も見習いたいものですね。そして、出る杭が伸びにくい社会ではなく、出る杭をどんどん自由に伸ばしていける社会になってほしいものです。

参考:教育基本法:文部科学省 (mext.go.jp)

学習環境

日本の学校では、掃除当番や給食当番などの活動や、学級会などを当たり前に行います。しかしこれらは海外ではあまりみられない活動のため、他国から関心を寄せられていることのひとつ。そのような活動から得られる「豊かな心」は、グローバルな視点から見ると、教育の強みだといえるでしょう。しかし日本の教育問題は、過去の伝統に縛られた教育方法が多く見られることにあります。特に先生が一方的に教える講義形式が中心で、生徒たちが自分で考えたり、問題解決力を身につけたりする機会が少ないという点です。

一方海外では、日本のようにただ教えるのではなく、ひとりひとりの才能を伸ばすことに重点を置き、可能性を引き出すことのできる学習環境が多く取り入れられています。暗記してテストで問題を解くといった詰め込み型の学習は少なく、自分で調べたり、解決法を考えたりする学習が一般的です。また、日本のように成績が良くも悪くも1年ずつ進級するといった仕組みではなく、成績が良ければ飛び級し、悪ければ支援を受けるといった制度を取り入れている国も多くあります。他にも、早生まれの子は1年後の学年で入学することもでき、ひとりひとりに合った学習環境が与えられています。

寮生活

寮生活の学校のことを「Boarding School(ボーディングスクール)」といいます。日本にもいくつかのボーディングスクールがあり、小さな頃から国際的な教育環境を育みたいという方が通っています。海外のボーディングスクールや学校にひとりで通わせることに不安や抵抗がある方は、あえて日本にあるボーディングスクールに通わせる選択をすることで、安全面での不安要素をひとつなくすことができると人気のようです。

ボーディングスクールでは、生徒だけでなく先生やスタッフも同じキャンパスで生活していることがほとんど。教室のみならず、日常のあらゆることを通じて、刺激し合い切磋琢磨しながら成長できる環境が寮生活にはあります。毎日を規則正しく生活する中で、楽しみを見つけ、生きる時間を充実させるための工夫を身につけることもできるでしょう。学業だけでなく、学生生活に専念できる環境が整えられていることが最大のメリットなのかもしれません。

費用対効果

幼稚園から大学卒業までの19年間でかかる教育費の目安は、子供1人につき約1,000万。しかしこれは、全て国公立の場合であり、全て私立に通った場合は2,000万を超えます。この他、塾や家庭教師などの習い事に通わせるとなると、教育にかかる費用はかなり高額になってくることがわかります。ちなみに、日本よりも教育費の私費負担が高いといわれるアメリカやイギリスなどの欧米諸国では、塾などに通うことはまれのようです。それを考えると、家庭で支払う実際の教育費はあまり変わらないのではないでしょうか。

最近では、社会人が必要なタイミングで教育を受ける「リカレント教育」や、会社が社員をもう一度ブラッシュアップする「リスキング教育」も注目されています。仕事を辞めて本格的に学び直すケースは、費用面でシビアな判断が求められますが、狙いが当たった場合は大きなリターンを得ることにつながります。いずれにせよ、学び続ける意欲が成功への道というわけです。

子供の適性や個性

個性とは、その人だけがもつ性質や特徴のことを指します。いわゆる「その子らしさ」です。それらは、生まれながらに持っているものと、環境など身近な人の影響で変化していく部分があります。ハーバード大学の心理学の教授であるガードナーは「多重知能理論」として、人間の知能は複数の知能で形成された集合体であると考え、その知能の強弱で、その人の個性が形成されるとしました。多重知能理論によると、知能は主に下記の8つで構成されるといわれています。

①「言語・語学的知能」
  話すことが好きで言葉を使って何かを表現したりすることが得意な子

②「論理・数学的知能」
 説明書を見ながら何かを組み立てるのが得意だったりする子

③「視覚・空間的知能」
 絵や図を描いたり、積み木やパズル、迷路が好きな子

④「博物的知能」
 自然などさまざまなことに興味があり、図鑑などを読むのが好きな子

⑤音楽・リズム知能」
 曲に合わせて踊るのが好きだったり、楽器を演奏したりするのが好きな子

⑥「身体・運動感覚知能」
 体を使うのが上手な子、いわゆる運動神経がいい子

⑦「対人的知能」
 誰とでも仲良くなれたり、グループ活動が得意な子は

⑧「内省的知能」
 自分の興味を突き詰め、自分のペースで過ごすことができる子

子供の個性を伸ばすには、まず子供の個性を見極めることが大切です。また、根本的な性格は変わらなくとも、経験値が高まることでできることは増えていきます。苦手なことを諦めるのではなく、たくさんの経験を積むことが得策と言えるでしょう。

いかがでしたでしょうか。

教育理念やカリキュラム、学習環境をとってみても、日本と海外ではまるで別物。しかし、日本には日本の良さが、海外には海外の良さがあるように思います。ボーディングスクールのように、海外の良さを取り入れていくことが、日本の進展につながっていくのかもしれません。

言い切れるのは、どの国も子供の個性を伸ばしていくべきだということ。個性を大切に育むことで、その部分がこの子の強みとなり、人生の基盤となっていくでしょう。

 

 

Text by yumeka