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フランスの教育制度:自由と平等が息づく学びの場

日本とは対照的に、自由と平等を重視するフランスの教育制度。近年、その独自性が注目を集めています。今回は、画一的な教育とは異なる、個性と創造性を育むフランスの教育システムを徹底解説していきます。

 

自由な発想と平等な機会を重視するフランスの教育制度

共通のプログラムを受け、協調性を大切にする日本とは違い、比較的自由度の高い教育が行われているフランス。また、未就学児の時に教育を受けられない子供の教育格差をなくすための取り組みとして、義務教育のスタートが6歳から3歳に引き下げられました。さまざまな国が教育格差を課題として挙げる中で、非常に注目度が高い取り組みなのではないでしょうか。

それでは、6つのカテゴリに分けてフランスの教育制度を見ていきましょう。

①教育制度の特徴

②教育課程

③教員免許制度

④学校評価制度

⑤教育費

⑥教育課題

①教育制度の特徴

 

フランスの義務教育期間は、幼稚園、小学校、中学校の12年です。

幼稚園(3歳〜5歳)

・小学校(6歳〜10歳)

・中学校(11歳〜15歳)

中学校を卒業した後は、普通高校や工業高校への進学、もしくは就職のいずれかを選択します。前述したように、2019年より幼稚園が義務教育になったため、日本よりも義務教育期間が3年長いのが特徴のひとつでしょう。

学歴社会といわれるフランスでは、小学校低学年から16時頃まで、高学年になると18時頃まで授業が行われます。道徳や生活、家庭科などの日常生活で必要になることは各家庭で学ぶものとし、学校では学問が中心です。また、成績が悪ければ落第や留年、成績が良ければ飛び級することもできますが、授業内容が急激に上がることもあり、全ての家庭が飛び級を受け入れるわけではないようです。

日本に比べて、成績が自分の将来に大きな影響を与えるフランス。学校は学びに行く場所だということを理解し、熱心に学業に励む学生が多いのかもしれません。

②教育課程

 

フランスの義務教育は、日本の幼稚園にあたる「エコール・マテルネル」という保育学校からはじまります。日本ではたびたび待機児童が問題になりますが、フランスでは希望する全ての児童が入園できると法律で定められているため、待機児童になることはありません。

年少組では絵画や工作、歌や踊りなど日本の幼稚園と変わらない生活を送り、年中組からアルファベットを習い始め、通知表が配布されます。年長組になると小学校の入学準備としてアルファベットの筆記体や文章を書く練習がはじまり、ほとんどの児童が卒園までに自分の名前はもちろん、アルファベットをかけるように。発音の仕方や理解度が悪いと保護者が呼び出され、指導を受けることもあるようで、日本に比べると「教育の場」という要素が強いようです。

小学校生活は5年間。最初の1年は「プレパラトワール」と呼ばれ、これから始まる教育課程の準備期間です。発音や聞き取りが難しいフランス語を中心に簡単な算数を学びます。その他の授業が始まるのは2年生以降。座学だけでなく、演劇鑑賞へ行くなど、校外学習も盛んに行われるようです。フランスらしく議論やディベートなど、児童には自己主張する機会が多く与えられるため、学生たちは自分の意見を主張するスキルが高くなります。

中学校生活は4年間で、3年生になると児童の興味がある仕事の受け入れ先を児童本人や家族が自ら探し交渉し1週間ほど研修に行きます。研修で学んだことはレポートにまとめ発表し、成績が付けられるようです。そして、卒業には「ディプロム・ナショナル・ドゥ・ブレヴェ」という全国統一試験を受け合格しなければなりません。

高校は3年制の普通教育課程高校、工業高校、2年〜4年制の職業高校の3種類です。日本のような入学試験はなく、家庭で進路を決め、学校の会議で決定されます。また、大学受験もなく、高校修了試験である「バカロレア」に合格すれば入学できますが、中にはバカロレアを断念してしまうなど、学業は非常に大変のようです。

③教育免許制度

 

フランスでは、国家資格に合格した後に、CAPES(中等教員適性証書)を取得しなければなりません。CAPESは学生向け試験、教員向け試験、第3試験のいずれかに合格し、1年間の教員実習修了者に交付されるものです。

またマイナーではあるものの、フランスの公立学校等でアシスタント教師など、補助教員として経験を積んでいる方を対象とした試験もあるようです。書類選考や面接、正規の授業を持ちながら教員実習を経て教師になることができます。

④学校評価制度

フランスには基本的に入学試験がなく、唯一の条件は住んでいる場所。そのため、家などを購入する前には必ず学区と学校を調べます。その学区に、学校がひとつしかない場合は問題ないですが、複数ある場合、住む場所が数メートル離れるだけで違う学校に行かされてしまうこともあるので注意が必要です。子供を評判のいい学校に行かせるため、学校の評判を見て住む場所を選ぶ人が多いとか。

また、日本のテストは100点満点で評価されることが基本ですが、フランスのテストは20点満点で評価されるそう。点数の付け方は科目や先生によって異なりますが「11.2233420」のように、中には小数点入りの点数をつけられることもあるとか。試験の難易度も高く、20点満点をもらえることはほとんどないようです。

⑤教育費

フランスでは、幼稚園から大学まで無料で通うことができます。教材や文房具などの必要とするものは学校側で用意してくれ、給食費も親の世帯収入によって計算されるので負担が少ないのが魅力です。

私立学校やインターナショナルスクールは有料のようですが、エスカレーター式で教育の質が良いこともあり、ある程度の収入がある家庭はあえて私立学校を選ぶようです。

⑥教育の課題

貧困層に生まれたことにより、フランスには教育を満足に受けられない子供たちがいます。さらに、就職が難しいなどといった理由から貧困の連鎖が絶ち切れません。そういった格差をなくしていくために、2018年、フランスのマクロン大統領は「貧困撲滅対策」を発表しました。今後も、格差をなくしていくために様々な対策が取られることでしょう。

 

いかがでしょうか。

フランスの教育は時代と共に進化しています。また、個人主義で有名なフランスは社会のルールや望ましい習慣を幼い頃から徹底して学び、自分で考え発言し、行動する力を身につけていきます。

それぞれの優れた点と、改善すべき点を考え、日本の教育がますますすばらしいものになっていくことを願うばかりです。

 

 

Text by yumeka