12月に入ると街の雰囲気やテレビのCMまで、一気にクリスマスムードが高まっていき、気持ちがワクワクしてくる方も多いのではないでしょうか。
もともとはキリスト教の神聖な行事であるクリスマスですが、世界中に広がるにつれて独自の発展を遂げ、国ごとのさまざまな新しい習慣が生まれました。
目次
クリスマスの本当の意味とは
日本でもすっかりクリスマス文化は浸透していて、そのすぐ後に続くお正月よりも、心待ちにしている方も多いことでしょう。
しかし、そもそも、クリスマスとは何のことなのでしょうか!?
キリストの誕生日ではないようです…
クリスマスである12月25日を、イエス・キリストの誕生日だと思っている方はきっと多いはず。
しかし、実を言うと、クリスマスは「キリストの誕生日」ではなく、「キリストの生誕を祝う日」なのです。
「なぜ誕生日でもない日に誕生を祝うのか?」という疑問が湧きますが、それはキリストの誕生日に関して「新約聖書」にも記載がなく、いつがキリストの誕生日なのか誰にも分からないからなのです。
一説には、キリストが生まれたのは10月1日か2日であると言われていて、その説が有力なのだそうです。
キリストの生誕を12月25日に祝うと定めた由来は諸説ありますが、古代ローマ帝国時代、冬至の日に行われていた太陽神の誕生を祝う行事とキリストの誕生を重ねて決められたという説が有力になっています。
今まで、クリスマスをキリストの誕生日だと思って神聖な気持ちでお祝いしていた方にとっては、少し拍子抜けする事実かもしれませんね。
キリストの生誕を12月25日に祝う理由
現在はキリスト教の行事として重要な役割を担っているクリスマスですが、キリストが亡くなってからの数百年の間、キリスト教の信者でさえキリストの誕生日を祝うという習慣がありませんでした。
キリスト教が重要視していたのは、キリストが復活したことを祝う復活祭(イースター)で、キリスト教では今も昔も大切な日になっています。
それでも、キリスト教の各宗派はそれぞれ独自に日付を定めて、バラバラの日にイエス・キリストの生誕を祝っていたそうです。
しかし、4世紀前半頃に当時のローマ教皇であるユリウス1世が、当時まだ新興宗派だったキリスト教の布教を狙い、「イエス・キリストの生誕の日は12月25日」と定めてミサを執り行ったことが始まりとされています。
意図的に決められた日と言っても、驚くほど長い歴史があるイベントなのですね。
本場ヨーロッパでのクリスマスの楽しみ方
クリスマス会やクリスマスパーティー、クリスマスディナーなど、日本でもクリスマスの楽しい過ごし方はすっかり定着しています。
しかし、クリスマスの本場であるヨーロッパでは、どんなクリスマスを過ごしているのでしょうか。
準備から楽しむクリスマス
クリスマスの本場ヨーロッパにおけるクリスマスの時期は、アドベント(待降節)から始まります。
待降節(たいこうせつ)とはキリスト降誕を待ち望む期間のことで、11月30日に最も近い日曜日からクリスマスイブまでの4週間にあたります。
この期間にはヨーロッパ各地でクリスマスマーケットが催され、クリスマスプレゼントやクリスマス飾り、食材などを買い求める人々で街は大賑わいとなります。
アドベントからはクリスマスについての具体的なプラン作成を始め、12月24日にはクリスマスを迎えるミサや礼拝、食事などを楽しみ、翌25日は家族と一緒にのんびりとした1日を過ごします。
そして、その後は、キリストが異邦人の前に顕現したことの記念日である1月6日の公現祭(こうげんさい)までクリスマスが続き、ツリーなどもそれまでは飾られたままとなります。
準備期間においての差はあまりなくなっていますが、12月25日が過ぎたらお正月ムード一色になってしまう日本とは違って、ヨーロッパでは長い間クリスマス気分を味わっているのです。
クリスマスは日本でのお正月のようなもの
日本では、クリスマスイブにホームパーティーを行うご家庭も多いかと思いますが、ヨーロッパではお昼頃になると、学校や会社、さらにショップも早じまいになり、キリスト教徒は教会のミサや礼拝に出かけます。
クリスマス当日の25日は祝日となる国が多く、基本的にほぼすべてのショップやデパート、美術館なども営業を行わず、公共交通網までストップしてしまう国もあります。
人々は自宅で家族や親戚などと飲食やプレゼント交換などをしながら、穏やかで家庭的なクリスマスを過ごします。
さらに、翌26日も祝日となる国が多く、バーゲンセールの初日となることから買い物を楽しんだりする方も多いです。
イギリスでは25日に君主のクリスマスのスピーチがテレビ放送されることもあり、「皇室行事」「親戚が集まる」「三が日のような3連休」「初売りのようなバーゲン」など、日本のお正月に近い行事になっています。
クリスマスの楽しみと言えば
クリスマスの楽しみと言えば「クリスマスケーキ」と「チキン」ですが、日本のものは本場ヨーロッパの国々のものとは大きく違っています。
クリスマスイブには家族で食卓を囲むことになり、食後に家族みんなで特別なお菓子であるケーキを食べますが、ヨーロッパの地域によってさまざまな種類のケーキがあります。
・パネトーネ(イタリア)
日持ちがするので、イタリアではクリスマスの約4週間前に焼いて、親戚や友人に配るという習慣があります。
・ブッシュ・ド・ノエル(フランス)
ロールケーキの表面をココア味のクリームで覆って、樹皮をかたどった模様をつけた丸太のような形のケーキです。
日本でもクリスマスケーキの定番になっている、子どもに大人気なお馴染みの形のケーキです。
・シュトーレン(ドイツ・オランダ)
パンのような生地にドライフルーツやナッツなどを練り込み焼き上げ粉砂糖をかけた、甘いお菓子です。
クリスマスの4週間前からクリスマスまでの間、毎日少しずつスライスして食べ、どんどん変わっていく風味を楽しみます。
最近ではパネトーネやシュトーレンなど、洋菓子店やスーパーマーケットでも見かけることが多くなってきています。いろいろな種類のケーキを味わいながら、本場ヨーロッパのクリスマス気分を楽しんでみてもいいかもしれませんね。
また、クリスマスの定番「チキン」ですが、クリスマスにフライドチキンを食べるという習慣は、本場ヨーロッパにはありません。ヨーロッパでは「クリスマスに七面鳥のローストを食べる」と思っている方が多いかもしれませんが、実はこれはアメリカでうまれた習慣です。
ヨーロッパの国々では、牛肉・豚肉・魚などの伝統的なクリスマス料理を楽しんでいるのです。
日本でフライドチキンを食べるというクリスマスの習慣は、もはや日本の伝統と言ってもよいのかもしれませんね。
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今回は、クリスマスの成り立ちやクリスマスの過ごし方、クリスマスに楽しむ料理の数々についてご説明しました。
知れば知るほどおもしろいクリスマスの世界、次回は、クリスマスに欠かせない“あの人物”についてご紹介していきたいと思います。お楽しみに!
次回 ≫ 知ればもっと好きになれる クリスマスを120%楽しむ方法 | リアル名古屋 (real-nagoya.com)